HPへの資格表示は「パワハラだ!」 未取得者からこんな反発、どうすればいい?

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   Bさん-税理士、Cさん-現在4科目合格(「税理士」まであと1科目!)、Dさん-現在2科目合格……。こんな表記が事務所HPに。

   もし、あなたがDさんだったら、「よし、がんばるぞ!」と励みに思いますか? それとも「何でこんなこと載せるかな」と不満を感じますか? ある税理士事務所では、「こんなものを載せるのはパワハラだ!」という声が出ているという。

「誰が税理士で、何科目合格しているか」が分かる

   税理士事務所の所長です。現在職員を10人雇用しています。

   私を含めて有資格者は4人で残りは科目別合格者です。

   税理士になるためには5科目合格しなければならないので、みんな仕事の合間をぬって勉強しています。

   そこで啓発の意味も込めて、HPのスタッフ紹介の箇所で資格の表記をしてきました。お客さんからも事務所内でも誰が税理士で、何科目合格しているかが分かります。

   しかし、職員の何人かはこのことに対して不満を抱いているようです。先日、私にAさんがこのようなことを言ってきました。

「わざわざ誰が何科目持っているかなんて出さなくたっていいじゃないですか。
   最近顧問契約を結んだお客さんから、Aさんはまだ税理士ではないんですねと言われましたよ。バカにされた気分だし、仕事がしにくくなります。モチベーションが下がるので資格の表記をするのはもうやめて下さい」

   Aさんは2科目合格なのですが、なかなか受からない状態が続いています。

   私は思わず、

「そんなことを言っている暇があったら早く合格できるように勉強しろ!」

と言ってしまいました。Aさんは陰で

「所長は科目合格者にプレッシャーを与えるためにやってるんだ。これはパワハラだ!」

と言っているようです。

   私としてはそのような考えはないのですが、パワハラになるのでしょうか?

   パワハラになるのであればやめようと思いますが、そうでなければこのまま継続していきたいと考えています。

社会保険労務士 野崎大輔の視点
資格表記はパワハラに該当しない。類例多数あり。

   今回のケースはパワハラに該当しないのではないでしょうか。パワハラにあたる行為として、(1)暴行、傷害などの身体的な攻撃(2)脅迫や暴言等による精神的な攻撃(3)無視をする等の人間関係からの切り離し(4)業務遂行が不可能なことを強制するなどの過大な要求(5)仕事を与えない等の過小な要求(6)プライベートに過度に立ち入るといった個の侵害と分類されています。

   パワハラは受け手のとらえ方によって判断されると見られがちですが、(4)(5)(6)については、業務の適正な範囲であれば本人がパワハラだと思ったとしても、パワハラと判断されません。これらと照らし合わせても今回のケースはパワハラではないと考えられます。

   税理士事務所だけでなく他の士業でも資格の有無は載せている事務所は多数見受けられます。資格業はその資格がないとできない独占業務もありますので信用面と、有資格者を何人抱えているかということをアピールするために表記している事務所もあるようです。このくらいのことは士業の事務所では普通ですし、このようなことでパワハラだと言っているAさんの意識が甘いのではないかと思います。

臨床心理士 尾崎健一の視点
具体的支援をしながら表記の同意を得てはどうか

   パワハラと認定するにはなかなか難しいケースですが、嫌がる人もいることは事実です。その表記に競争心やプライドを持って頑張る人もいるでしょうし、不快に思ってモチベーションを下げる人もいます。目的が職員に資格取得へ向けてよりがんばる気持ちを持ってもらうためであれば、その目的を妨げているとわかった時点でやめるべきでしょう。事前に十分話し合って合意を得た表記ならモチベーションに繋がったかもしれません。

   また、表記することに併せて事務所からの具体的支援策を示して、モチベーションを維持するという方法も考えられます。例えば、1科目合格する度に報奨金を出すとか、これから受ける科目に近い内容の仕事を優先的にさせるなど職員の納得できる支援策はないでしょうか?

   資格取得者が増えれば事務所の信頼向上や対応顧客数も見込めるため、事務所側として「勉強しろ!」だけではない具体的支援策にお金や時間を使うことは、十分意味のあることだと言えます。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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