これってセクハラですか? お客さんの忘年会で女性から「イイ体してるわね。腹筋触らせて」

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   忘年会シーズンまっただ中。お得意さまの会場に呼ばれて参加、なんてことも珍しくなさそうだ。

   「昔は裸踊りを披露したもんだ」。そんな上司が男性の部下をつれ、営業先の忘年会に参加。そこには担当窓口の女性がいて……。トラブルの予感がします。

「俺達の時なんか裸踊りやったぞ」

   広告代理店の人事です。

   忘年会シーズンでお客様の忘年会に呼ばれる社員も何人かいます。

   それ自体は顧客との関係性が良好ということで、素晴らしいことだと思います。しかし今回、トラブルが発生しました。

   入社2年目のA君からセクハラの相談があったのです。

   先週、お客様から招かれてB課長と一緒に忘年会に参加したそうです。

   最初の頃は和やかな会だったらしいのですが、酒がすすむにつれ、先方の担当窓口の女性のCさんからあれこれ言われたとのこと。A君に

「君はイイ体してるわね。体鍛えてるの?腹筋触らせて」

と触ってきたり、

「ちょっと腹筋見せてよ。みんなもAさんの腹筋見たいよね?」

と服を脱がそうとしたりしたといいます。A君は上手く断ったため、何事もなく終えることができたようです。

   しかし翌日、一緒に会場に行ったものの途中で帰っていたB課長に

「昨日の忘年会でCさんに体を触られたり、脱げと言われたりしたのですが、これってセクハラじゃないですか?」

と忘年会でのことを相談。すると、次のようなことを言われたようです。

「お前、何言ってんだよ。そのくらいいいじゃないか。俺達の時なんか裸踊りやったぞ。触られるなんて親しまれている証拠じゃないか。そのくらい我慢しろ。あそこは重要な取引先なんだから」

と言われたようです。先方さまの行為はセクハラになるのでしょうか?また、B課長の対応に問題はないでしょうか?

社会保険労務士 野崎大輔の視点
社外の宴会でもセクハラに該当する

   今回のケースはセクハラに該当します。セクハラは一般的には男性から女性に対して行うことと認識されていますが、女性から男性への行為も対象となります。取引先との宴会も職場の延長とみなされます。参加は自由で有志だけの飲み会の場合、一般的に考えれば業務とはみなされません。しかし、東京労働局雇用均等室に確認したところ、このような場合であっても労働者を守るということと、翌日以降の業務に支障が出るという点から自由参加の宴会であっても職場の延長とみなすとのことでした。

   行為者は会社の上司や同僚だけに限らず、取引先なども含みます。今回のケースは、客観的に見てもセクハラと判断されるのではないでしょうか。使用者には職場環境配慮義務があるため、Aさんが相談をしているのに「そのくらい我慢しろ」と言って無視すると、職場環境配慮義務を怠ったことから不法行為として会社に対しての争いに発展するリスクがあります。取引先には上司から上手く注意喚起をしてもらった方が良いでしょう。

臨床心理士 尾崎健一の視点
問われる「相談を受けた会社側」の対応

   やはり本件はセクハラにあたるでしょう。しかし、もし抗議しようとした場合、行為者が顧客であることから取引への影響を考えてしまうのも無理はありません。

   大切なのはAくんに対する会社側の対応です。取引を優先して顧客のセクハラ行為を容認する前に、Aくんの「不快だと思う気持ち」に共感することが第一歩です。職場のハラスメントが会社への訴訟に発展するケースの多くは「上司や会社側に相談したのに、まともに取り合わない会社の対応が不満だ」というものです。被害者の気持ちを真摯に受け止めた上で、対応策を考えましょう。

   今回の場合、上司のセクハラに対する認識が不十分なようですから、会社側からしっかり指導しましょう。会社全体としてハラスメントに対する認識が甘い場合は、この上司だけでなく会社全員に対する啓発活動が必要です。

   本人が苦痛であって、かつ会社としても顧客との取引を守る必要がある場合は、担当者の変更を検討することもあります。

男性に伺います。女性(上司や営業先)から「セクハラ」受けたことはありますか?
ある
ない
微妙だがあるといえばある
男性(上司や営業先)からある
その他
尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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