「母の介護」理由に頻繁に休む社員 「ズル休みではないか」と面談すべきか

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   (電話で)「伯父が亡くなりまして、会社を休ませてください」「……ああそう。それは大変だね。分かったよ(心の中で……『またかい?いったい、君にはおじさんが何人いるんだね?』)」――こんなパターンがよくあるとかないとか。

   会社を休む申請理由が「親の介護」の場合、それが仮に繁忙期でも、上司は拒みにくいものだ。しかし、それが何度も、しかも繁忙期に限って続くようだと、さすがに「本当なのか?」と疑いのまなざしを向けられるようになる。上司も他の社員の手前、放置できなくなるようだが、面と向かって問いただすべきなのだろうか。

月末の繁忙期になると休みが多くならない?

   製造業の人事です。

   入社5年目のAさんが最近休みがちで、ちょっとした問題となっています。

   最近、母親の介護を理由に休むそうですが、どうやらそれが嘘らしいと噂が広がっています。

   休む日はたいてい繁忙期と重なっているようなのです。最初のうちは、みんな心配して

「お母さんの介護じゃ大変だよね」
「気にしないでいいよ。私達がカバーするから」

という風にAさんをかばっていたのですが、繁忙期に休むことが増えてきて、誰かが

「なんかAさんって月末の繁忙期になると休みが多くならない?」

と言いだしてから、「確かにそうだな」と同調する社員が増えてきました。 全員が、というわけではなく、Aさんと親しい社員は

「Aさんに限ってそんなことするわけがない。酷いじゃないか」

とAさんを擁護しています。Aさんの上司のB部長は

「Aは確かに休み癖があるんだよ。プレッシャーをかけるとけっこうもろくて、翌日体調不良になったりするんだ。まぁAは真面目だから、今まで休みがちなのも流してきたが、こうなってしまったら事実確認をするしかないのかもな」

と言いだしています。

   母親の介護で休んでいるのを疑って本人に確認するというのは、いかがなものでしょうか?

   どのように対応すべきか悩んでいます。教えて下さい。

社会保険労務士 野崎大輔の視点
「勤怠状況が良くない」を理由に面談を

   繁忙期に休みが続くとなれば、他の社員が不審に思うのも無理はありません。だからといって介護を理由で休んでいるのに、本人に疑いをかけた質問をしない方が良いというのは言うまでもありません。このまま放置しておくと、他の社員が会社に対して不信感を抱くようになってきますので、本人と個別面談をする必要はあります。

   定期的に休むのであれば、勤怠の状況が良くないということを理由にすれば良いでしょう。面談では現在の状況、今後どのようになりそうか、いつぐらいまで続きそうかといったことと、現在困っていることを聞いてみるといいでしょう。休みが続くようであれば、定期的に話し合いの場を持った方が良いと思います。

   もしさぼりで休んでいるのであれば、面談されるのが嫌なので休まなくなってくるかもしれません。本当に介護で休んでいる場合は、本人が不安に思っていることなどを早い段階で知ることができます。こうすることで介護離職の予防にもつながります。

臨床心理士 尾崎健一の視点
過去の事実確認より、これからどうするかを話し合う

   有給休暇や介護休業など、認められている休みを取得することは問題ないはずです。問題になるとすれば、「突然の休み」ではないでしょうか。「突然の休み」は、当日の仕事の段取り変更や、それをフォローする周りの人への負担が高いものです。

   これまでの「事実がどうであったか」より、今後「どうしていくか」の方が重要です。まずは、現状起きている「突然の休み」が仕事に影響している問題を話し合いましょう。そして、母親の容態などやむを得ない事情は理解するけれども、今後は出来るだけ「計画的な休み」の取り方を合意することから始めてはいかがでしょうか。

   その上で、どうしても「突然の休み」が改善しないようであれば、業績評価に反映させるなどのプロセスに移行します。

   そもそも全く別の理由で突然休んでいたとしても、それを言い出せない事情は何なのか、に目を向けてお互いに理解を深める職場にしたいものです。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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