ITで企業を結び、ひとつの仮想工場に 「マスコミ掲載の確率」高めるキーワードとは

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   メディアに取り上げてもらうには「社会的に影響がある」か「よそにない特徴があるか」がキーワードになる。

   この連載の第1回目で紹介した中小製造業のケースでは、「嫌いな取引先は断る」という社会的な影響・話題があり、一方で「バネの規格化と即日出荷」という特徴を打ち出した。キーワードを両方そろえた結果、メディアが次々に取り上げてくれた。今回は、これと同様のケースを紹介したい。

微粒子が均一に並ぶ新物性塗料を、安価で提供

   n-tech(エヌテック、東京都千代田区)は、一般的にはほぼ無名の企業。ところが、いま塗料業界に大きな話題を提供している。独立行政法人産業技術総合研究所と共同で2013年3月に、不整形シリカ(二酸化ケイ素)を使った全く新しいタイプの遮熱塗料を開発したからだ。従来の遮熱塗料は、粉体をペレット状態にしたときに、内部に空間を持つ中空ビーズや真空ビーズを使っていた。ところが、n-techの遮熱塗料は、それより安価な粒子径1000分の1ミリ1000分の4ミリの不整形シリカを用いたうえ、混合物とは異なる性質の高分子化合物を生成することに成功した。つまり、微粒子が均一に並ぶ新しい物性の塗料を、安価で提供できるようになった。このため、わずか0.2ミリの塗膜厚で遮熱効果が得られる。

   この塗料の凄さは、それだけではない。新たな物性を応用して、電気抵抗を制御した電磁波シールド塗料を開発し、この塗膜の上下を電気絶縁塗膜層で保護する3層構造とすることで融雪塗料を生み出し、屋根に塗れば建物の中のスイッチひとつで簡単に雪下ろしができるようにした。屋根の融雪はこれまで、温水パイプやニクロム線シートの敷設が一般的で、融雪塗料によって大幅に低コスト化した融雪が可能となり、雪下ろし事故の軽減につながると期待されている。この融雪塗料は、日刊工業新聞が2013年7月5日付1面に掲載し、話題を集めた。n-techの遮熱塗料は消臭、抗菌、花粉対策、防汚対策などの多機能性を持たせることも容易で、従来の塗料では難しかったさまざまな用途が開発されそうだ。

全国1万8000社の中から発注先を検索

   もう1社は、NCネットワーク(東京都台東区)。1998年に設立し、日本で初めてインターネットを中心とする工場向けネットワークサービスを始めた。製造業の調達・購買部門が全国1万8000社の中から発注先を検索したり、自社に適した案件を探して応募したりすることができる。中小製造業のネットワークを1つの仮想工場にしてしまう同社の取り組みは、1999年に日経インターネットアワード受賞、2000年にはNHKが「IT革命の衝撃」を放映したことにより、認知度が高まり、アクセス数が増加した。

   2010年にはベトナムに現地法人を設立。2012年には米国現地法人を設立するとともに、ドイツのハノーバーで開催される世界最大の国際産業技術見本市に中小製造業を集めて共同出展するなど、国際化対応も着々と進めてきた。ベトナム現地法人は2013年8月、ベトナム企業からの加工品輸入を検討している企業に対し、2週間の納期で約10社の企業リストと約3社の見積もり・企業情報を届ける「簡単調査プラン」の提供を始めた。費用は5万円(税別)で、社内稟議に添付できるレベルの報告書も付ける。約1000社のベトナム企業の情報を保有しているから可能なサービスで、日刊工業新聞が掲載した。さらに、2014年6月にはタイに現地法人を設立し、日刊工業新聞が6月13日付で掲載した。タイにおいてもベトナムと同様、日本の製造業の進出支援や営業支援、タイからの調達支援を行う。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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