中小企業も無縁ではない「炎上」リスク 今、押さえておきたい対処法のポイント

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   先日、週刊SPA!が『「炎上企業」で働く悲劇』の特集を組んだ際、記者からコメントを求められた。勤務先が不祥事を起こし、炎上したときの対処法は?という質問だった。この特集記事にはゼンショーHD、不二ビューティ、日本マクドナルド、朝日新聞社、ヤマダ電機などの大手企業がずらりと並んだ。そこで考えたのは「中小企業の人たちは、ウチには関係ないと思っているんだろうな」ということだった。

   結論から言えば、中小企業にも大いに関係がある。社員の過重労働、顧客情報漏えい、商品の誤表示、社員・アルバイトの悪ふざけ、医薬・食品や介護福祉分野にみられる事故などは大手も中小も同様のリスクを抱える。しかも、ツイッターなどを通して情報が拡散していくので、「黙っていれば大丈夫」というわけにもいかない。不祥事は起こさないことが前提となるものの、万が一を想定したリスクマネジメントは中小企業も押さえておきたい。

重要なのは、社会への影響度

   以前も書いたが、不祥事の際の対処法は「事実確認・原因究明、対応策、再発防止策」が基本となる。企業規模の大小を問わず、これは変わらない。ただ、中小企業の場合はオーナー型企業が多いので、事実そのものにトップがかかわっているケースが多い。そうなると、一部の幹部だけで情報を共有して「社員にも話さないように...」と事実を隠す。そうはいっても、人の口にチャックは付けられない。いずれ、ばれて知れわたってしまう。

   そこで重要なのは、社会への影響度だ。人命にかかわること、顧客のプライバシーを侵害すること、多くの人にウソをつくことなど社会や国民を裏切る行為であったとしたら、監督官庁に報告し、指示を仰ぐとともに、不祥事の進行を食い止めて、少なくともホームページ上で知らせなくてはいけない。例えば、農薬入り食品が出回ったケースなどでは一刻も早く知らせないと人命にかかわるため、メディアを通じて知らせる。この場合、メディアの連絡方法を知らなければ、購読している新聞社に電話すればいい。広報の手法よりも、社会や顧客に対する誠意が優先する。

管理体制の徹底を

   ただ、そこまで逼迫した事態は、それほど多くはないだろう。分かりやすい例として、電気部品の仕様の誤表示、食品の製造年月日の誤表示を取り上げてみたい。幅広い電化製品に使われている部品の仕様に誤表示があり、実際には性能が劣って電化製品の安全性にかかわる場合。食品の製造年月日に誤表示があり、実際の製造日よりも新しい製造日となっていた場合。このケースでは消費者の信頼を裏切る行為であり、事故につながる可能性も想定されるため、速やかに広報をしなければならない。販売数量が多ければ、中小企業といえども記者会見をしなければならないことになる。監督官庁にはもちろん、知らせなければならず、監督官庁サイドで広報の助言をしてくれるだろう。

   一方、それとは逆に、実際の性能よりも低く表示されていた場合、実際の製造日よりも古い製造日となっていた場合は、管理体制は問われるものの、それほど大事にはならない。社会への悪い影響がないからである。広報は必要なく、関係者へのお詫びで済むだろう。

   また、社員の過重労働のケースでは何らかの事故が発生した時に、原因究明の段階で指弾される。運送業などで多くに人を巻き込む事故が発生し、過重労働が原因だったとしたら、当然マスコミが動くし、会社倒産もあり得る。医薬・食品や介護福祉分野にみられる事故についても、原因究明の段階で事業者側のミスが発覚すれば、経営に大きな影響を与える。

   中小企業の場合は、大企業と比べて影響が限定的なため、すべてを広報する必要はない。ただし、社会や国民を裏切る行為であれば、広報しなければならなくなり、企業の生死にかかわってくる。顧客や社会に迷惑をかけない管理体制、コンプライアンス(法令順守)の徹底を図ってほしい。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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