「夢は正社員=既得権側に入れさせろ」論 同一労働・同一賃金を考える

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   夢は「正社員になること」。

   民主党の選挙CMキャッチコピーとしても話題になりました。

   しかし、この正社員とは何を意味するのでしょうか?

   安定とか、安心とか、そういうものの象徴ということなのでしょうが、実際はもっとえげつないでしょう。

椅子取りゲームのような気が・・・

夢は・・・
夢は・・・

   御存知の通り、日本では、正社員と非正規社員の格差が開いています。

   同じ仕事をしていても、年収が半分であるという事例もあり、同一労働・同一賃金とはかけ離れています。

   正社員は既得権であり、

   非正規社員より高い給与をもらい、

   身分が保証されます。

   つまり、「夢は正社員」とは「わたしも既得権側にいれてください」という意味としか思えません。

   ちなみに、東証などへの上場会社の従業員総数は、労働者(雇用者)数5637万人の1割もいるかいないか程度です。

   つまり既得権10%に入りたい、入らせろ、という椅子取りゲームのような気がします。

   ちなみに、地方の介護の仕事などは、年収300万円でちゃんとした正社員の仕事がごろごろしていて、人手不足で、資格がある人が応募したら多くの人が正社員になれるとのことです。

   でも、そういうのはいや。つまり、「夢は正社員」というのは、「既得権がほしい」とイコールです。「夢は既得権側に入ること」ではあからさまなので、正社員とは言い換えたにすぎないでしょう。

「既得権はやめてフラットにしましょう」

   言い換えを元に、それぞれの主張をみてみましょう。

   「わたしも、10%の既得権に入れさせてほしい」というのが、労働者の願望。

   「日本の社員の100%を既得権側にしなさい」というのが、左巻きがわのひとの労働キャンペーン(そんなのは民間では無理で政府が抱える必要がありますが、そういう主義なので主張自体は整合性はあるとおもいます)。

   「既得権はやめてフラットにしましょう」というのが、正社員をなくそうという解雇規制緩和論者です。

   奇しくもこの原稿を書いたあとに、慶応大教授の竹中平蔵氏がテレビで「同一労働・同一賃金と正社員廃止」について触れ、論争になりました。

   私は基本的には解雇規制緩和論者で、既得権としての正社員を廃止すべきだという立場です。

   私がおかしいなと思うのは、90%の「東証一部正社員になれないひと」も、正社員の既得権の緩和には大反対な人が多いことです。解雇規制緩和は、90%の側のほうにむしろメリットのある政策なはずですが、なぜか90%のひとは、いつかは10%の側に入れると思ってしまっているのでしょうか。

   いつかは自分もその10%の側に入れると夢を見ているのでしょう。そんなことは起きないと思いますが。これぞ、夢を見させられながら現実には、搾取され続けるというブラックな構図そのものです。まずは、この幻想を打ち砕くことが必要かもしれません。

   「夢は正社員」ではなく、正社員や非正規という言葉がなくなる社会を、作っていくべきだと思っています。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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