女性上司から卑わいな言葉 セクハラ被害、我慢すべきですか?

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   7月ももう目の前。暑気払いだ!と、職場の仲間とビアガーデンなどに繰り出す人も多いかもしれませんね。わいわいと楽しむのは結構なのですが、お酒が入る場で気をつけたいことのひとつに「セクハラ」があります。

   「セクハラ」と聞くと、男性から女性への「性的嫌がらせ」だと思う方も結構いるのではないでしょうか?しかし、女性が男性に対して行う「性的嫌がらせ」も、れっきとした「セクハラ」です。もしかすると、女性のあなたも知らない間に男性に対して、「セクハラ」をしているかもしれません。今回は、「女性からのセクハラ」について考えていきます。(文責:「フクロウを飼う弁護士」岩沙好幸)

男性部下社員の体を触ったり・・・

さあ、飲みに行くわよ
さあ、飲みに行くわよ

   私の課のマネージャーは女性なのですが、とても仕事ができる人なので、社内では女性社員の憧れの的となっています。さばさばとしていて、飾らない性格が得意先からも評判なのですが、一部の男性社員からは嫌がられています。その理由は、酒癖が悪く、課で飲みにいくと、お気に入りの男性部下社員の体を触ったり、男性でも引くほどの卑わいな言葉を投げかけたりするのです。

   毎回、「女性を一人で帰らせるのか!」と言っては、誰かしらに家まで送らせるのですが、送った者はなかなか帰らせてもらえません。耐えかねて、数人で部長に相談したのですが、「君たちは男なんだから、いざとなったら力で勝てるし、そんなことで悩んでるなんて情けない」と言われてしまいました。お酒さえ飲まなければ、普段は気さくで良い人なのですが・・・。

   相手が上司なので、ハッキリ「いや」とも言えません。たしかに身の危険を感じたら対抗することはできますが、我慢しなければいけないのでしょうか。(実際の例を一部変更しています)

弁護士解説 男性だからといって我慢する必要は全くなし

   セクハラはもともと、男性から女性に対して行われて問題になることが多かったため、女性から男性への場合は「逆セクハラ」なんて言葉も使われています。

   でも、セクハラとは、職場で行われる労働者の意に反する性的な言動(ジェンダーも含む)による嫌がらせを言い、相手の性別は関係ありません。男性が女性に、女性が男性に、同性が同性にしてもセクハラで、そもそも「逆セクハラ」という言葉が間違いなのです。

   女性からのセクハラの例としては、目のやり場に困るくらい露出の多い服装、ボディタッチ、下ネタ、女性経験や奥さん・彼女との関係を聞く、飲み・食事・買い物や休日デートに付き合わせる、お気に入りの男性と仕事で一緒になるように仕組む、「男のくせに・・・」と性差別発言をする、下の名前で呼ぶ、独身や身体的特徴をからかうなどがあります。

   これを男性が女性にしたらセクハラで大問題になりそう・・・と思いますよね?男性が女性にしてセクハラになることは、誰が誰に対して行ってもセクハラだと肝に銘じてください。

   今回のケースでも、男性社員が嫌がっているのに身体に触れたり、引くくらい卑わいな言葉を投げかけたり、無理矢理家まで送らせたりしたことは、明らかなセクハラです。

   セクハラ被害は、男性だからといって我慢する必要は全くありません。相手には嫌だとしっかり拒絶をし、信頼できる上司や同僚、会社に相談して対応を求めましょう。今回、セクハラ相談を受けた上司(部長)が何も対応しなかったことはそもそも許されないんです。

   というのも、会社には職場環境の調整義務がありますし、男女雇用機会均等法で、会社に、雇用管理上必要なセクハラ対策をしなさいとハッキリ義務付けているんです。

   具体的には、社員教育や相談体制の整備、問題が起こったときの迅速かつ適切な事実調査、配置転換・謝罪など被害回復の措置、加害者に対する懲戒などの必要な措置や再発防止策をとることされています。

多くの証拠を集めておくことも大事

   でも、会社が何もしてくれないとか、社内では相談しにくいことも現実にはあります。そんなときは、労働組合、労基署、労働局雇用均等室などの第三者に相談したり、弁護士が介入してセクハラを止めるよう要求したり、法的措置を講ずることもできます。会社が適切な対応をしなかったときは、加害者に対してだけでなく、会社に対しても損害賠償請求などができることもあります。

   ただ、セクハラは証拠がなかったり、やってないと否定されたりすることも稀ではありません。

   いつ、誰から、どこで、どのような言動を受けたのか、状況を詳しくメモにしておく、録音する、目撃していた同僚に証言してもらうなど、セクハラを証明するためできるだけ多くの証拠を集めておくことも大事です。

   女性の社会進出が進むとともに、セクハラ被害に関する男性からの相談も増加し、セクハラ被害で心身を壊して勤務が難しくなってしまう方もいます。ためらう気持ちはあるかもしれませんが、セクハラ被害を訴えることは恥ずかしいことではなく、許されないセクハラをなくすためには被害者が声を上げるのが大切です。男性女性を問わず、身の危険を感じるまで我慢する必要は全くないので、早い段階で対応をとるよう心掛けてくださいね。


   ポイントを2点にまとめると、

1:会社には職場環境の調整義務があり、男女雇用機会均等法で、会社に、雇用管理上必要なセクハラ対策をしなさいとハッキリ義務付けられている。
2:労働組合、労基署、労働局雇用均等室などの第三者に相談したり、弁護士が介入してセクハラを止めるよう要求したり、法的措置を講ずることもできる。また、会社が適切な対応をしなかったときは、損害賠償請求などができることもある。
岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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