ゴルフと農業が生んだ「ご当地化粧品」 ニュースになった地場企業の発想法

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   どんな中小企業にも、メディアに報道されるチャンスは訪れる。顧客満足度を高め、売り上げを増やすために新製品・新サービスを生み出したり、他の企業と連携したりすることは、ほとんどの中小企業が行っている。

   新しいアイデアで、社会的意義のある新たな価値を創造できれば、ニュースになる可能性は高い。メディアに報道される会社を目指して、イノベーションに励んでほしい。今回はそのような事例を紹介したい。

女性プレイヤーを増やすには・・・

   ウィルトラスト(茨城県水戸市)は、茨城県内の水戸市とひたちなか市でゴルフ練習場を運営している。茨城県のゴルフ場数は全国第5位、来場者数は全国第2位と集客力があるものの、ゴルフ人口はプレイヤーの高齢化によって減少しており、何とか女性プレイヤーを拡大できないかと考えていた。

   そこで目を付けたのが、茨城県の豊富な農産品である。茨城県の農業産出額は全国第2位で、メロン、栗、白菜は収穫量が全国第1位。農産品の多くは、その抗酸化作用などにより肌に良いとされるポリフェノールが豊富だ。

   ならば、これら農産品のエキスを配合した「ご当地化粧品」を開発し、女性ゴルファーの日焼けケアによるゴルフ場来場者増と農業振興による地域活性化の両方を狙おうと動き出した。各種調査によると、茨城県の魅力度は低く、地場企業として茨城の魅力を伝えたいという思いが、ゴルフと農業を結びつけた。

   同社の礒崎博文社長は、抗糖化化粧品を開発・製造しているイル・ヴリール(東京都新宿区)に提案し、ブドウ、栗、ニラネギ、柿のエキスを配合した、ご当地化粧品「アプローチシャイン」を共同開発、ウィルトラストがこのほど洗顔石鹸とフェイシャルパックを発売した。東京・銀座にある茨城県のアンテナショップ「茨城マルシェ」や、茨城県内の大手ゴルフ場での販売が決定し、初年度2400セット、3年後に年5000セットの販売を見込んでいる。両社はこれを皮切りに、関東各県のご当地化粧品についても共同開発する予定だ。

経営の変革がメディア掲載につながる

   このニュースは7月31日(2015年)に、茨城新聞が経済面で4段見出しを使って大きく報じた。ゴルフ練習場の運営会社というと、ほとんどの人はメディア報道とは無縁と思うだろう。それでも経営者のアイデアと情熱でイノベーションを起こし、社会的意義のある価値を創造できる。

   また、今年1月にこのコーナーで紹介したシャンデリア業界ナンバーワンのEL JEWEL(エルジュエル、東京都港区)は5月に、欧米デザインの高級輸入壁紙について、デザインの商用使用権の契約を結び、日本で高性能デジタルプリンターによって印刷するという新しい手法を生み出した。これによって欧米デザインの高級壁紙が建築基準法や消防法に適合するうえ、豊富なバリエーションが安価で入手できるようになった。このニュースは、フジサンケイビジネスアイが6月22日の起業・経営面で、森みどり社長のインタビューとともに大きく報じた。

   「ウチなんか記事になるような会社じゃないよ」とハナからあきらめずに、経営を変革していけば、メディアに報道される機会が必ず訪れるはずだ。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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