ペッパー君「時給1500円」が下がる日 その時、時給労働者に起こるコト

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   東京で、駅ビルを歩いていたり、企業に訪問させいていただいたりすると、結構な確率で、ソフトバンクのロボ、ペッパー君に出会います。

   なぜこんなに、ペッパー君が...と思っていたら、今、ペッパー君が時給1500円で働いてくれるということが分かりました。

   この1500円という値段は非常に微妙な値段で、狙ったのかどうかはわかりませんが、先日、「時給を1500円に上げろ!」デモが起こったばかりです。つまり、このデモの参加者は「ペッパー君くらいの賃金はくれ!」とデモをしているわけです。

稼いでくれる人には払う

よく見かけるようになりました
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   正論から言うと、雇用主からしてみたら、給料というのは「稼いでくれる人には払う」というのが原則です。払った分以上稼いでくれるのであれば、給料を上げることはやぶさかではありません。

   私も、街を歩いていて、ペッパー君がいれば「おおっ」っと思って気にとめますし、店の中に入ってなにをやっているか確かめることもあります。オフィスにいたら、一緒に写真を撮ることもあるかもしれません(今のところないですが)。

   こんな感じで、道を歩いている人を集客してくれたり、来客の人を楽しませて会社の好感度を上げてくれたりするのであれば、時給1500円は悪くないでしょう。

   ちなみに、ペッパー君は、社会保障費も雇用保険も有給休暇も不要なのですが、2台からの派遣が基本の上、サポートスタッフ(時給1500円)が付き添うため、結構コストはかかります。

   そして、このままペッパー君の価値が1500円で維持できるのかは疑問です。

   今は、ペッパー君がめずらしいから人目をひきますが、だんだん飽きられていくことは間違いありません。しかも、ペッパー君はあまり壊れないでしょうから、生産台数が増えればペッパー君の数が増えて希少価値がなくなり、ますます衆目を引かなくなります。

「マニュアル通り」では・・・

   ペッパー君を使っている会社の人に「この子は何か仕事するの?」と聞いたら「ただのしゃべる看板」という答えが返ってきたので、時給1500円を維持するにはもう少しスキルアップが必要な気がします。

   ペッパー君の話題は置いておいて、時給1500円を目指す人の話に戻ります。マニュアル仕事が中心の彼らの弱点は、仕事の内容を雇用主に決められてしまうことです。

   基本的にマニュアル通りに行動するため、いまやっている仕事の生み出せる利益が1時間あたり「1500円+その他経費」を超えないことには、時給1500円を超えて払うことはできません。

   営業職の様に自分で考えて効率化し、営業成績を上げることが出来るのであれば、「これだけ稼いだのだから、もっと給料をよこせ」と交渉ができるのですが、言われたことをする仕事だと「君が生み出す利益はこれだけだから、これ以上はあげられない」と言われてしまうと、何とも返すことができなくなってしまいます。

   だから、時給を政府が決めて無理矢理上げると、1時間あたり「1500円+経費」以上稼げる仕組みを作った事業者だけしか人が雇えなくなってしまい、雇う側からするとなかなかやっかいです。そこに満たない仕事をするには、仕事のやり方を変えるか、ペッパー君にやらせるか、しかないわけです。

人間に残る複雑な仕事

   例えば、あるコンビニの店舗で、ぎりぎりの利益しか出ていないとすれば、時給を上げるのはかなり難しくなるでしょう。そうすると、やり方を変えなくてはなりません。

   例えば、基本的にはレジは無人化して、店舗にいる人の数は1人で、モノを並べたり、宅急便の受け付けをしたりといった、機械ができないようなことをやるだけになるでしょう。防犯のために、本部で複数店舗の安全を確認する人などがいて、常にモニタリングをしながら、何かあったら緊急出動するような仕組みができるかもしれません。

   昭和の働き方と2015年の働き方を比べると、一番変わったことは、仕事が複雑化していることです。昭和の雑貨屋の業務と、2015年のコンビニバイトの業務を比べたら、コンビニバイトの方が10倍以上複雑でしょう。

   時給が上がったり、ペッパー君がもうちょっと複雑なことができるようになったりすると、人間がやらなきゃいけない仕事はもっと複雑なものだけが残り、ついていけない人がたくさん出てきそうです。

   だから、スキルをあげよう!というのがひとつの解なのですが、どうしてもついていけない人は出てきてしまう。そういう人をどうやって救っていくべきなのか?というのが今後の政府の課題になると思います。簡単には答えが出せない、難しい問題です。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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