「面倒から逃げない」就活生は強い その「面倒」とは何か
【シューカツ異種格闘技戦】

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   今回のテーマは「面倒から逃げない」です。

   混沌とした2017年就活もぼちぼち始まろうとしています。

   その中で、採用担当者から注目されているのが「面倒から逃げない就活生」です。

   そもそも論で言えばそうした就活生は毎年、少数派。

   今年も同様なのですが、この「面倒」が何か。

   今年の特徴は2点、それが「JOBRASS」とリクナビの「オープンES」です。

「JOBRASS」ってなんだ?

企業にとっての「普通」とは
企業にとっての「普通」とは

   JOBRASSはアイデムが2012年に開始した就活サイトです。

   大手企業がリリースした就活サイトとしては、今のところ、このJOBRASSが最後発。

   JOBRASSは、他の就活サイトとは使い方が全く異なります。

   リクナビやマイナビなど他の就活サイトは、学生の側が企業情報を一方的に検索するだけです。

   もちろん、マッチング機能などもなくはないのですが、主流というわけではありません。

   その点、JOBRASSは、大きく異なります。

   学生が企業の情報を検索・閲覧することが主流ではなく、その逆。企業が学生の情報を検索、気に入った学生に選考オファーを出すことが主流のサイトです。

リクナビ・オープンESって何?

   一方、リクナビのオープンESは2013年11月に開始した、新しい機能です。

   各企業に提出する書類としてエントリーシートがあります。

   エントリーシートは項目が企業ごとに微妙に異なりますし、仮に同じでもいちいち作成する手間がかかります。

   そこで、リクナビ登録者を対象に、各企業共通のエントリーシートということで始めたのが、オープンESです。

   志望動機欄は、さすがにありませんが、「資格・趣味」「学業、ゼミなどで取り組んだ内容」「自己PR・PR写真」「学生時代に最も打ち込んだこと・PR写真」などは同じ。

   利用企業が独自の設問を作りたい場合は、3問まで設定できます。

2013年当初は非難轟々の「紹介文」

   このオープンES、当初は非難轟々でした。

   今はないのですが、開始当時は共通項目として「紹介文」がありました。これは、学生が社会人や友人などに人物紹介の一文を書いてもらう、というもの。

   どういった人に紹介してもらうか、その選択もミソ。

   ところが、そんなこと言われても適当な人がいない、と頭を抱えたのが当の学生です。そこで、大学のゼミ教員やキャリアセンター職員に依頼が殺到。

   今度は大学教職員が激怒し、ひと騒ぎとなりました。

   そもそも紹介文機能は本人が成りすましで書くことも(あるいは空欄での提出も)できたため、2014年からは項目ごと削除し、現在に至ります。

「JOBRASS」「オープンES」に共通する「特別感」

   運営会社が異なる「JOBRASS」「オープンES」に共通するもの、それは「特別感」です。

   JOBRASSは、「選考オファー」「マッチング」という言葉自体、学生になじみがありません。

   学生が説明を聞いても、

「どうせ、体育会系(あるいは留学経験などなど)のすごい学生しかオファーを出さないんでしょ」

と敬遠してしまいます。

   同じ話はリクナビのオープンESでも言えます。

   出てきた当初、一部の専門家から、これで大学名差別が加速する、など、様々な的外れ批判が出てきました。

   学生の敬遠ぶりと、一部専門家の的外れ批判、共通しているのは、

「すごい学生(大学名、経歴など)を企業は優遇する」

という、一方的な思い込みです。

   「特別感」とでも言いますか、それがないと、就活が不利。

   そんなものは、ウソ、ということは当連載で散々繰り返した通りです。

「普通さ」はアピールできない?

   学生からすれば、「自分は普通だし」と思い込み、その「普通さ」が企業にはアピールできない、と勝手に考えてしまいます。

   だからこそ、JOBRASSに登録しない、リクナビのオープンESを作成しない、となってしまうのです。

   ところが。

   企業からすれば、学生が勝手にダメだと思い込んでいる「普通さ」が評価対象になります。

「体育会系ですけど、一生懸命練習していただけで」
→その熱心さがいい!
「資格試験の勉強をしていただけで、しかもその資格試験、落ちちゃいました...」
→勉強熱心でいいじゃない
「漫画サークルで漫画描いていただけなんです...」
→その話、詳しく
...。

   パターンは無限にあるのでこの辺にしておきます。

学生の「普通」と企業の「普通」は違う

   学生からすれば「普通」「大したことない」でも、企業によっては「普通でなくすごい」「大したことある」になります。あるいは、「普通だけどその普通さがいい」。

   ここまで学生に話すと、「じゃあ、どの企業が私の『普通さ』を買ってくれますか?」と聞いてきますが、そんなのわかるわけがありません。

   そんなの、パターンは無限にあるわけですし。

   ある企業が評価するものを別の企業は否定する、あるいはその逆、ということだって良くあります。

   確かなのは、学生が4年間、引きこもっているわけでない限り、「普通」を評価する企業がどこかはある、ということです。

   学生が自分の「普通さ」から逃げないこと、それが「面倒」です。そして、その具体的行動の一つが「JOBRASS登録」「リクナビのオープンES作成」なのです。

   両方できていれば、仮に学生の自己評価が低くてもそれだけで一歩先に行けます。

利用する企業からすれば・・・

   「JOBRASS」「オープンES」が就活生にとって得をするのは、「普通さ」と向き合うことだけではありません。

   多くの就活生は、就活の売り手市場から、自身の就活もどうにかなる、と甘く見ています。

   そのため、ナビサイトはリクナビ、マイナビの登録をする程度。

   JOBRASSは見向きもしませんし、オープンESは面倒、という理由で作成しようとしません。

   しかし、JOBRASS登録とオープンES作成をしておけば、企業側は「面倒から逃げない」とそれだけで評価を上げます。

   特に、オープンESについては、過去の「紹介文騒動」が災いして、強く勧める大学はそれほどありません。

   ところが、利用する企業からすれば、オープンESができているだけで、学生の詳しい話が理解できます。

   このように、違う企業の就活サービスではありますが、3月1日の広報解禁前に着手しておくと、得をします。筆者は強く、そう思います。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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