「やや甘めに」ほめるといい時代 「好印象」に引きずられずに(高城幸司)

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   「上司からほめられるとやる気が高まる」という回答は8割。とくに20代で高い傾向。ちゃんとやっていることを見ていてくれとわかる言葉をもらえると、とくに嬉しい......との結果が出ています(「サーベイリサーチセンター」の調査)。

   ほめられるのは、誰にとっても嬉しいことです。ゆえに、職場でもほめることを推奨する傾向が高まっています。上記の調査によれば、職場に表彰制度などの「ほめる仕組みがある」との回答は全体の4割、ほめる仕組みが「やる気の向上に効果あり」とする肯定的な回答は7割にものぼります。

  • ほめられれば嬉しいもの
    ほめられれば嬉しいもの

今は「やや甘め」の時代

   筆者の知人が書いた『ほめ言葉ハンドブック』は発売以来ロングセラーになっており、ほめ方を教えてほしいとの依頼が企業から舞い込む数は増加傾向にあるようです。

   それだけ、ほめることは簡単なようで難しいということでしょう。そこで、仕事の上でのほめ方についてみなさんと考えてみたいと思います。

   人をほめる時の評価の基準ですが、同じことをしても「そんなことはできて当たり前じゃん」という厳しめの人もいれば、「よくできましたね~」という甘めの人もいます。このバランスが、実はとても難しいところです。

   筆者は今、人事コンサルティングの仕事をしていることもあり、人を評価する場面も多いのですが、そこで思うのは「厳しめ」よりも「やや甘め」の視点が今の時代には合っているということです。

   自分から見たら「できて当たり前」だと思うことでも、「すごいですね」と言って失礼にはなりません。「ほめるほどでもないな」と思ってやめてしまうのではなく、できれば少し甘めの気持ちで「やっぱりすごいですね」とほめたほうが、ほめられた側も嬉しいと思います。

   逆に、「それはできて当たり前ですよね」と言われてしまうと、ガッカリしてしまうでしょう。そうはいっても、「漢字も書けるんですね」というレベルではさすがに失礼に当たりますので、相手が「ほめられて嬉しい」と思うことをほめるようにしましょう。目安として、「社会人の常識としてごく当たり前のレベル」よりも上であれば、ほめてあげていいと思います。

評価が歪められていないか

   ここで注意したいのは、「ハロー(後光)効果」に惑わされないことです。ハロー効果とは、心理学者エドワード・ソーンダイクによって名づけられた造語で、心理的効果の一つ。 ある対象を評価する時に、一つの顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象を指します。

   すなわち、人が何かを評価する際、ある部分的な特徴によって全体の評価が大きく変化してしまう心理的な現象を言います。例えば、かつて仕事で大きな成果をあげたり、社内においていい仕事ぶりを見せた人がいたとします。その人を、今は何も成し遂げていないのに、過去の印象だけでほめてしまうこと。あるいは、

・身だしなみがいいから仕事も出来る
・海外留学経験があるから外交的に違いない
・資格を取得しているから有能なはず

などと決めつけることです。

   ほめる場面でいえば、このハロー効果に惑わされて誤ったほめ方をしてしまうことがよくあります。例えば、朝の挨拶が元気な営業担当に対して、その印象だけで「君は営業力がある、大したものだ」とほめる人がいたら、それはハロー効果による誤解です。元気のよいコミュニケーション自体はほめられてもいいでしょうが、仕事の成果まで拡大解釈するのはいかがなものでしょうか。ほめられた本人にもいい影響はありません。勘違いしてしまうだけです。

   「ハロー効果」の影響を考えずに人をほめることは、慎んだほうがいいでしょう。やや甘めな「ほめ」を容認する時代になりましたが、甘さと誤解は違います。ほめる効果を高めるためにも、相手をよく観察するようにしたいものです。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。「高城幸司の社長ブログ」
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