敏腕経営者もコロリお買い上げ 高額システム販売の殺し文句は

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   米国のITシステム会社S社が日本国内で高価な営業管理システムを売りまくっている、という話を聞きました。その中身が素晴らしいものであることは間違いないようなのですが、基本システムで2000万円は下らないというこのシステムを、大手企業のみならず優良中堅企業にまでかなりの数、売っていると聞いて二度ビックリです。

  • 「変革」したら「飛躍」する?
    「変革」したら「飛躍」する?

「変革を与えて飛躍しませんか」

   私がオブザーバーとして参加した経営者団体総会のテーマ別パネル討論会の場で、ファシリテーター役を務める企業コンサルタントのF氏が、S社の販売テクニックがいかに注目に値するか、ということを強調しながらその実態を紹介してくれました。

   購入している企業の具体名を聞いて気がついたのは、中堅企業はほとんどがオーナー系の成長企業ということでした。そしてS社は、必ず実権者たるオーナーを引っ張り出し、対面プレゼンテーションの冒頭でこう質問するのだそうです。

「社長にうかがいます。あなたは今、ご自身の会社の営業方法に変革を与えて自社を一層飛躍させたいと思いますか、思いませんか」

   もちろん社長の答えはYES。その回答を得たうえで、

「我々は『変革』による自社の『飛躍』を望んでいる会社にだけ、この話を聞いてほしいのです。社長、これから我々がする話をよく聞いてください」

と畳みかけるのだとか。そんなインパクトのあるツカミから具体的導入事例の説明に移るプレゼンテーションは、決断力ある経営者方の琴線に触れ、多くの成約に結びつくのだといいます。

パネラーからは共感が

   F氏はそこまで話すと、「このようにしてS社のシステムを入れた経営者の決断について、皆さんの意見を聞かせてほしい」と、参加者の社長方に話を振りました。私は内心、「よくそんな高価な投資を決断できるものだ」という類の、距離をおいた意見が飛び交うものと思っていたのですが、意外や意外、システムを導入した社長たちの決断に共感する意見が次々と出されたのです。

「基本的に自社の営業に満足している社長なんてほとんどいない。変革による飛躍はほとんどの経営者が望むことですから、痛いところを突かれた感じでしょうね。その気持ち、よく分かります」
「企業を飛躍させたい経営者限定、という匂いを漂わせて、IT活用による営業スタイル変革と自社を飛躍に向かわせる仕組みづくりを具体的に見せられたら、リターンが確実に期待できる投資と思えるでしょう。私も資金的に余裕があるなら導入したいと思うかもしれません」
「潜在的に望んでいること、悩んでいることをズバリと突く。経営者は孤独な存在、『いかにして自社を発展の道に導いていくべきかという課題を分かち合える同志がいた』とプレゼンに引き込まれ、多少大きな投資でも背中を押される気持ち、私にも覚えがあります」

   パネラー経営者は皆、事業に前向きに取り組まれ、成功に導いてこられた優秀な方々です。そんな波に乗った面々が、このように「変革」や「飛躍」と言ったキーワードに魅力を感じ気持ちを揺り動かされる様は、よくよく考えれば納得でもあり、興味深い反応を見せていただいた気がしました。同時に、この米国IT会社S社のプレゼンテーションは、ターゲットを絞り込み、前進を続ける経営者の内面にズバリ到達する言い回しの妙に優れているのだな、とも感じさせられました。

   恐らくは、経営者が言葉に出さずとも常に意識している「変革」や「飛躍」といったキーワードが彼らの経営者脳を刺激し、「あぁ、この会社は私の会社を更なる発展に導いてくれそうだ」と決断を促すのでしょう。この手法は、恐らくは発展軌道をいくS社の経営層が考え、同じく前向きに発展軌道をいく経営者を取り込むセールス手法として練り上げたスタイルなのではないかと想像されるところです。

導入企業から妙な声が続々

   パネラーの皆さんの発言を聞きながら、そんな思いを巡らせて一人ほくそ笑んでいると、ファシリテーターのF氏から意外なオチが披露されました。

「皆さん、このS社のシステムなのですが......。実は、導入した会社からその後、妙な声が続々と聞こえてくるのです。『システムは期待通り素晴らしく何の問題もないのだが、それを使いこなせる社員がいない』と。言ってみれば、フェラーリは買ったものの、その性能を引き出せるドライバーがいないという状態です。優秀な経営者ほど、提案に強く共感すれば高い買い物でも即決してしまう傾向があるのですが、忘れてならないのは、経営では常に『投資の前に人を育てよ』です。どうか皆さん、好調時ほど念頭に置かれますよう」

   発言をした方の顔つきが一瞬にして引き締まりました。パネラーの皆さんが「変革」や「飛躍」につなげる投資に前向きな発言をしたところでの、見事な切り返しでした。

   好事魔多し。業績好調で投資資金が潤沢な企業ほど、投資がすべてを解決してくれるかのように思えてしまうものですが、組織とは、どんな状況にあろうと、規模が大きかろうと小さかろうと、常にヒト優先で発展するもの。そんなF氏の話の落としどころに、私も強く共感した次第です。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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