サンマの缶詰で「足るを知る」 そんな30代に私はなりたい

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   グルメぶる人が苦手である。実際にグルメな人も、ちょっと苦手である。「デートで高級レストランへ行った」というのを自慢気に話す友人がいたら、それが男でも女でも、私は心のなかで「あっそう」と毒づくだろう。

   私はグルメに興味がない。というより、資産もなく、将来不安から貯蓄にはげむ一般庶民が、食べる物にむやみやたらとお金をかけるのが理解できないのだ。

  • 背伸びは20代まで
    背伸びは20代まで

小金持ちほどエンゲル係数がムダに高い

   「家計のムダをファイナンシャルプランナーが解決する」たぐいの記事をよく見かける。たとえば「夫は大企業務め、妻は専業主婦で子供2人」の家庭で、「夫の年収は800万円もあるのに、なぜか毎月赤字なんです」と言っている。大黒柱である夫がハイクラスな年収を得ているプライドから、奥さんや子供までセレブのような生活をしてしまい、赤字を垂れ流すケースが多い。

   ファイナンシャルプランナーは、高級被服費や子供の習い事などへの支出に加え、決まって「高級食材と外食への支出が多い」と指摘する。「奥さんが成城石井でしか買い物をしない」とか、「有機栽培の野菜を定期購入している」とか、「なんでも国産にこだわる」とか、「息抜きのために外食をしすぎている」とかである。エンゲル係数がムダに高いのだ。

   別に小市民は贅沢をするなというのではない。高くて良いものを食べたいならそうすればいいと思う。しかしながら、「お金を貯めたい」と思っている人がなぜ、毎日必ずかかる重要な支出=食費に目をつけないのか、理解に苦しむ。

「背伸び支出」は20代まででいい

   20代のうちなら、ボーナスで恋人と高級ディナーを楽しむとか、高い店で散財してすっきりするとか、思い切った経験をしてもいいと思う。先輩に美味しいものを奢ってもらう機会もあるだろうし、初めて有名レストランを予約するワクワク感もいいだろう。が、そういう「背伸び支出」は若い頃だけで十分ではなかろうか。

   よく、何歳になっても「デートでファストフード店に連れて行かれるのはイヤだ」とか、「食費にお金をかけないと、かえって健康に悪い」、「高いものを食べるのは自分への投資だ」と主張する人がいるが、まったく「背伸び」の方向を間違えている。

   別に毎日マクドナルドや牛丼を食べろというのではない。安くても美味しいものを楽しむ「つましさ」を身につけ、相手を選ぶ眼力を養ったほうが、人としての選択肢が広がるのではないかと思う。背伸びばかりしていると足が疲れる。

   私の知人に、とても魅力的な30代女性がいる。有名企業に勤めるキャリアウーマンだが、まったく自慢たらしいところがない。先日、夜遅くに彼女の自宅マンションへ遊びに行ったら、「夜食にどう?」と、サンマの缶詰とご飯でパパっとチャーハンを作ってくれた。これがまたウマいのだ。彼女の笑顔もあいまって、高級ディナーの何倍も温かい食卓だった。

   こんなおもてなしができる30代になりたいと思ったものだ。食事はその人をつくる。サンマの缶詰だけでも、温かい食卓はできるし、私は「グルメ自慢」をするプチブルおじさん、おばさんよりよっぽど、そういう人のほうが魅力的だと思う。

(北条かや)

北条かや
北条かや(ほうじょう・かや)
1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚した くないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会 学』などがある。
【Twitter】@kaya_hojo
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