できる営業マンの真髄を見た! 心動かされたその気遣いとは

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   「トップ営業マン」と聞いて、読者の皆様が思い描くのはどのような人物でしょうか。今回は、私が経験したある営業マンとのエピソードについてお話しします。

  • マイスリッパは、こんなかわいいものではなかった?
    マイスリッパは、こんなかわいいものではなかった?

玄関先で取り出したマイ――

   過日、私用で数社に対して資料請求を行い、そのうちの、電話での印象がよかった2社の営業の方とお会いすることにしました。時間の都合で両社とも自宅にまで来ていただきました。

   まず、A社の方は1名で来訪。マンションのエレベーターが自宅フロアに着くのに合わせて私は玄関ドアの前でお迎えしました。

   寒い日でしたが、姿を現した男性担当者はすでにコートを脱いでいます。玄関の上り口では鞄からスリッパを取り出しました。私は内心「えっ! マイスリッパ? この業界ではそれが常識なのかな?」といささか驚きながら、リビングへ案内しました。

   椅子を勧めると、今度は大判のハンカチを取り出し、床に広げ鞄をその上に置きました。これまたビックリ!

   以前このコラムでも書きましたが、訪問先で鞄を椅子やテーブルに置くのはNG。足元に置くのがマナーです。とはいえ、わざわざ床にハンカチを広げて置く人は初めてです。

   思わず聞いてしまいました。「いつもハンカチを敷いて置くのですか」と。すると彼はこう答えました。

「お客様のご自宅など靴を脱ぐ場所で商談をする際には、スリッパの用意など気を遣わせてはいけないし、鞄の底で床を汚したり傷つけてしまうといけないので、いつもこうしています」

   私は「そこまで気を遣うの!」と心の中で唸りながら、一方で「これも業界の常識なのかな」と思ったりもしたのです。

商談内容は甲乙つけがたかったが

   さて、そんなふうに登場からビックリさせてくれた彼ですが、商談自体の進め方も見事なものでした。事前準備が完璧で、限られた時間内に互いの必要な情報を提供、私の質問には的確に答えてくれました。帰り際にはハンカチとスリッパを鞄へ戻し、爽やかな笑顔と挨拶で去っていきました。

   続いて時間をおいてB社から2名が来訪。新人社員と上司です。A社と同様に出迎えると、ふたりともコートを着たまま靴を脱ぎ始めました。スリッパは持参せず。

   ここで私は確信しました。「スリッパ持参は、この業界の常識ではないのだ」と。

   リビングで椅子を勧めると、そこではじめてコートを脱ぎ、鞄は椅子の上に。私は内心「この会社はどういう訪問マナーの指導をしているのだろう」と疑問符。

   商談の内容はA社と大差ありませんでした。

   帰り際に「寒いですから、どうぞこちらでコートを着てください」と言うと、さも当然のように着始めました。もちろん、こちらが「屋内で着てもかまいませんよ」と言ったのですから、着ること自体は問題ありません。しかし、ビジネスの場面においては、やはりマナーを意識して屋外に出てから着るほうが、印象がよいわけです。

   読者の皆様はもうおわかりだと思います。私がどちらの会社と契約するか。もちろんA社です。商談内容だけを評価するなら甲乙つけがたいけれども、A社の担当者の気遣いが契約を決定づけたのです。

   彼は間違いなくトップ営業マンといえるでしょう。(篠原あかね)

篠原あかね(しのはら・あかね)
リクルートにて企業研修アシスタント、金融機関等での役員秘書を経てビジネスマナー講師として活動。2011年よりスマートコミュニケーションズ代表。ビジネスマナー、コミュニケーション、CS向上等の企業研修のほか、自身の宴会幹事経験をもとに「愛される宴会部長セミナー」も主催。著書に『宴会を制する幹事は仕事も制す。』『マンガ 黄金の接待』(監修)などがある。お客様や社内で愛されキャラになるコツを悩める社会人へ発信中。
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