2024年 4月 18日 (木)

国家公務員の残業時間 ワーストは財務省72時間 もっとも少ない9時間は意外な......

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   働き方改革を推進し、率先して長時間労働を是正しなくてはならない国家公務員は、毎月どのくらい残業しているのだろうか――。

   残業時間ランキングのトップ3は、財務省、文部科学省、経済産業省で、いずれも月70時間超えという結果となった。過労死ラインは80時間といわれるから危険水域だ。

   一方、最も少ないのが裁判所で、約9時間だった。いったいどういう働き方をするとこんなに差が出るのか。

  • 残業時間ワーストの財務省
    残業時間ワーストの財務省
  • 残業時間ワーストの財務省

長時間労働の元凶は「国会対応」

   この「国家公務員の残業時間ランキング」は、就職・転職のジョブマーケット・プラットフォーム「Open Work」を運営するオープンワークが2019年9月24日に発表した。調査は、8月までにOpen Workに投稿された会員による自分の勤務先である中央官公庁への評価レポート5653件をもとに行われた。回答が10件以上ある中央官庁に限定してランキングを作成した=別表参照

(図表)国家公務員の残業時間ランキング
(図表)国家公務員の残業時間ランキング

   会員による評価レポートには、残業時間などとともに「クチコミ」による職場の実態報告がある。それによると、「不夜城」と呼ばれることもある「霞が関」だが、残業上位官庁の職員のクチコミから見えてきたのは、「国会対応」というキーワードだった。

   「国会対応」とは、国会で質問を受ける省庁大臣らの答弁を作成する重要な業務だ。まず、質疑の前日に議員から「質問通告」を受けると、各省庁に答弁が割り振られて答弁作成が始まる。公務員の働き方改革のために内閣人事局が行った「国会対応の実態調査」によると、「質問通告」が終わる平均時刻は午後8時19分、各省庁への割り振りが確定する平均時刻は午後10時28分となっており、それから答弁作成が始まるから、当然、徹夜は必至だ。

   口コミからは国家公務員たちの悲壮な声が聞こえてくる。たとえば、財務省――。

「やや改善していこうとする動きは見られるが、ワークライフバランスに対する意識は民間企業に比べると乏しい。国会や政治家等への突発的な対応が求められることも多く、プライベートを犠牲にされることも多々あり」(財務省、男性 企画・調査)
「国会業務や予算編成、税制改正など長時間労働が基本なので、ワークライフバランスは諦めざるを得ない」(財務省、男性 事務職)

「順法精神」に富んだ裁判所は国家公務員の楽園

   文部科学省、経済産業省なども厳しい状態だが、少しずつ改善が図られている。

「平日にプライベートの予定を入れることはほぼ無理。『多忙なのは国会会期中に限る』という職員もいると思うが、国会は毎年1月~6月(遅ければ8月)と、9月~12月まで開催される。その期間中毎日、国会答弁の作成をするわけではないが、国会のために急に仕事が入る(それも定時後)ことが多いので、平日の習い事や霞が関以外の人との約束は実現不可能」(文部科学省、女性 企画・調整)
「国会対応を筆頭に業務は基本受け身で、自分でコントロールできないうえに、突発的に発生する案件も多い。子供が病気になったから家でリモートワーク......ということもできない。他方、平日がいくら多忙でも土日は基本オフなので、土日にしっかり休息をとってリフレッシュする」(文部科学省、男性 事務系総合職)
「数年前と比較して、自宅でも職場と同じPC環境で仕事ができるようになったり、フレキシブルな勤務体系を奨励する取組が進められたり、大幅に改善されている。ただし、国会業務を始め、国会や他省庁、海外政府との関係など、他律的な要因で制約が生じることは当然ある」(経済産業省、男性 企画)
「残業は避けられない。特に国会対応を頻繁に行う部署や、法令改正の担当部署に配属されると、休日出勤を強いられ、月残業時間が150~200時間にのぼることもある。ただ、霞ヶ関の中では比較的ワークライフバランスの取りやすいほうか」(総務省、男性 総合職)

   こうしたなか、唯一、残業が10時間以下なのが裁判所だ。財務省の約8分の1の短さだ。省庁と違い、「国会対応」がないだけではなく、組織風土の面でも「順法精神」の砦として、ワークライフバランス向上を推進していることがうかがえる。

「裁判部の事務官であれば、毎日定時(夕方5時)に帰れる部署が多い。書記官はこの限りではなく、長時間残業が常態化している部署もあるが、遅くても午後8時~10時には退庁できる。なお、組織として長時間残業が歓迎されておらず、一定時間を超えると上司との面談により業務効率化を促されるシステムとなっている」(裁判所、女性 書記官)
「部署によるが、特に事務官のうちは一般企業の社員よりも残業は少ない。基本的に土日祝日が休みで、かつ有給も取りやすいので、自分の時間はつくりやすい。実際に子どもとの時間や趣味の時間を充実させている人が多い。給与面や内容から見れば、民間企業に比べて相当恵まれているのではないか」(裁判所、女性 事務官)

と、うらやましい限りだ。

(福田和郎)

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