2024年 4月 20日 (土)

バッハ会長6月来日を断念! 米誌は「東京五輪強行はアルマゲドンを招く」と警告(井津川倫子)

   国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が事前来日を断念し、東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて2021年7月中旬に来日する予定だと発表されました。

   海外メディアによると、日本での新型コロナウイルス感染状況を懸念して、当初予定していた「6月来日」は「off the table」(検討から外れた)とか。「東京五輪は実行段階に入っている」(バッハ会長)との強気発言と相反するような来日延期。刻一刻と開催日が近づくなか、米誌は五輪開催を危険視する記事を掲載しました。

  • 6月中には東京に来ないIOCのバッハ会長
    6月中には東京に来ないIOCのバッハ会長
  • 6月中には東京に来ないIOCのバッハ会長

バッハ会長「事前来日断念」に「東京は安全じゃないのか?」

   IOCのトーマス・バッハ会長は、今夏の東京オリンピック(五輪)に向けて準備期間での来日を断念し、五輪開催直前の7月中旬に来日する意向だと海外メディアが報じました。

Bach not planning pre-Olympics visit to Tokyo
(バッハ会長はオリンピック準備のために東京に行かない:五輪関連情報サイト)

   記事では、「6月のIOC会長来日が検討されていた」ものの、今回、「now firmly off the table」(完全に検討から外れた)と報じています。

   ところがバッハ会長は、6月の訪日は断念したものの、東京五輪については次のような強気な発言をしているようです。

We are in a "full delivery phase" of the Tokyo Olympics
(東京五輪は完全に実施段階に入っている)

   Delivery phase(デリバリーフェーズ)は、コンサルタント用語で「実行段階」とか「実施段階」といった意味だそうですが、バッハ会長は「調査・検討期間を終えて、最終的な実行段階に入っている」と強調したかったのでしょう。

   東京五輪については、大スポンサーの米テレビNBCが「予定どおり放映する」と表明するなど、開催に向けた動きが強まっていますが、果たして、責任者であるIOC幹部の「事前来日断念」はどんなメッセージを発するのか。

   バッハ会長は、「日本での隔離期間を考慮すると、何度も出入国を繰り返すのは効率的ではない」と、その理由を述べていますが、これから東京を目指すアスリートや関係者たちにとっては「バッハ会長が事前来日できないほど、東京は危険な状態なのか?」と映るのではないでしょうか? 不安材料になりかねないような気がします。

相次ぐ「東京五輪は危険」「強行開催でアルマゲドンに!」の警告

   そんななか、政府の新型コロナウイルス対策分科会メンバーの押谷仁・東北大教授が、東京五輪・パラリンピックの開催について強い懸念を示したと、英紙タイムズが報じました。

Tokyo Olympics cannot be safe, says Japan Covid adviser
(東京五輪は安全ではあり得ない、と日本のコロナ対策専門家が警告)

   記事では、東京五輪が「a super-spreader event」(感染を拡大するスーパースプレッダーイベント)になるリスクがあるとする押谷教授のコメントを紹介。押谷教授は、「everybody knows "safe Olympics" were impossible」「(安全なオリンピックは不可能だとみんなわかっている)とまで発言していて、正直驚きました。

   同じく、東京五輪が「スーパースプレッダーになる」可能性を報じているのが米国の雑誌「The Nation」です。同誌は、「The Tokyo Olympics Are In Peril」(東京五輪は危機の真っ只中にある)とのタイトルで、IOC最古参のディック・バウンド委員(カナダ)の「東京五輪はアルマゲドンでもない限り実施できる」とのコメントを引き合いに出し、次のよう述べています。

There may not be Armageddon before the games, but if they steamroll ahead, the aftermath certainly could bear a close approximation
(大会の前にアルマゲドンは起きないかもしれないが、このまま強行すれば、五輪の後は確実に似たような状況に陥るだろう)

   それでは、今週の「ニュースな英語」は、IOCバッハ会場の来日をめぐる報道から「off the table」(検討から外れた)を取り上げます。前置詞を「on」に代えると「検討している」という反対の意味になります。

That is off the table
(それは検討外だよ)

I don't like your idea. It is off the table.
(君のアイデアはあまり好きじゃ無い。検討外だね)

I like your idea! It is on the table.
(君のアイデアが気に入った。検討しよう)

   アルマゲドンとは世界最終戦争を意味する言葉ですが、現時点で東京五輪の安全性を化学的に保証できる人は誰もいません。「平和の祭典」後のアルマゲドンを避けるためにも、小さな声を上げ続けることが大切だと痛感しています。(井津川倫子)

kaisha_20170303104637.png
井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中