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「大停電」防止 コストと安定供給を考える

06/10/ 4
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   2006年8月14日に発生した首都圏の大停電。停電したのは約139.1万軒にのぼり、大きな影響を与えたが、大部分は1時間あまりで復旧し、「大災害」にまでは至らなかったのも事実だ。大停電をなくすのは可能なのか。それに必要なことは何か。安定供給とコストの関係を東京電力に聞いてみた。

   電気は発電所で発電され、変電所で電圧を調整しながら、各家庭や事業所に届けられる。J-CASTニュースでは、今回の大停電の原因にもなった「電気の通り道(送電線)」の段階での取り組みについて取材した。


一つのルートが駄目になっても、他のルートから電気を供給


送電線を新設するには、多額の費用が必要だ
送電線を新設するには、多額の費用が必要だ

   送電線は、大きくふたつの思想に基づいて作られているという。ひとつは、「『n−1』では止まらないようにする」ということだ。送電線は通常2回線*で電気を送っていて仮に片方が使用出来なくなっても、残ったもう1回線で電気を送り続けることにより、電気は止まることはない。つまり、「1回線が使えなくなること」が「n−1」だ。
送電線は電線3本1組で1回線としての機能を果たす。

   もうひとつが「n−2」、つまり「二つとも回線が使えなくなり、そのルート自体が使えなくなる」ことだ。今回の停電は、これにあたる。この場合は、「バックアップを動かして、早急な復旧を目指す」ことになる。具体的には、「一つのルートが駄目になっても、電気が流れる経路を切り替えて、短時間のうちに他のルートから電気を供給できるようにする」ということだ。このような考え方で設備形成をしてきたこともあり、過去10年間(1995年〜2004年)における東京電力サービスエリア内の平均停電時間は5分であり、諸外国にくらべ、非常に短い(イギリス:76分、フランス54分、アメリカ87分)。しかしながらそのためにコストがかかってきたのも事実だ。


送電線を新設しようとしても、用地確保ができない


   だが、一度停電が起こると、それなりの影響があるのは確かだ。「まったく停電しない」とはいかないまでも、せめて、もっと復旧までの時間を短くすることはできないのだろうか。

   可能性の一つとしては、「ルート数を増やす」ことだ。これによって、仮にどこかで停電が起こったとしても、その影響範囲を狭めることができる。だが、首都圏、とりわけ東京のようなところでは実現はかなり難しい。土地、つまり送電ルート用地の確保の問題だ。何キロにもわたる送電ルート用地を確保することは、現実には不可能に近い。それに、仮に、27万ボルトの送電線を新たに作ろうとすると、土地代を含めるとざっと1キロあたり数億円はかかり、その半分以上は土地代となるのだという。

   だとすると、地中化、つまり地下を利用することになる。ただ、これも簡単ではない。大量に電気を送るためには、ある程度太い電線を用意する必要があり、電線を埋めることができるルートは、大きな道路の下などに限られてくる。だが、地中のルートでも「めぼしいところは既に利用されている」のだという。また、現行のルートは昭和40年代に構想されたもので、一朝一夕には建設できない、という事情もある。仮にルートが確保できたとしても、「地中化すると、(地上と比べて)ひとこえ10倍」と、やはりコストの問題がのしかかる。


非常用自家発電装置の設置を「お願いする」


   そうは言っても、消費者からすると、あらゆるものがコンピューターで制御されている今の社会では、たとえ一瞬の停電でも非常に困るものだ。週刊誌などでは停電で困ってしまった事例を紹介している。例えばこんな具合だ。

「オートロックが故障してオフィスに閉じこめられ、蒸し風呂状態」
「現金自動預払機(ATM)にキャッシュカードが飲み込まれ、3時間半も待ちぼうけ」
「宅配ボックスが故障し、荷物が受け取れない」

   「一瞬でも停電されると困る」消費者は、一体どうすれば良いのだろうか。担当者からは、こんな答えが返ってきた。

「復旧時間をより短くするための取り組みを行っていますし、これからも進めていきますが、全く停電しないようなシステムにすることは現実的には難しく、また仮にできたとしても莫大なコストが必要となってきます。むしろ『ごくわずかな停電でも困る』というお客さまには、(すでに病院などが備えているような)非常用自家発電装置など、自衛的な対策を取っていただくことが効果的であり、そうしたお願いもしているところです」

(ドキュメント 「首都圏大停電 どうやって復旧したか」はこちらから)

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