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枝川二郎のマネーの虎
借りてはいけない住宅ローン(下)米国の住宅ローン減税15兆円 日本はいくらか知ってますか

08/2/23 コメントを見る・書く(12)
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   「(住宅ローン減税は)住宅取得時における納税者の負担を軽減するため・・・(中略)・・・所得税額から控除するものです。」

   住宅ローン減税について財務省はホームページでこう書いている。しかしこれほど事実とかけ離れた表現はない。なぜなら、わが国の住宅ローン減税は非常にお粗末なものだからだ。


イギリスやフランスでさえ兆単位の減税


   たとえば2008年に住宅ローンを借りた場合、税額控除は10年間で最高で合計160万円までしか認められない。つまり10年をかけて戻ってくる税金は年平均16万円にしかならないということだ。住宅を購入した側からすると、10年間確定申告で労力を使っても、戻ってくる税金は数千万円の住宅購入代金と比べれば数%程度。そのくらいで「納税者の負担を軽減」などと軽々しく言ってもらいたくない。

   これがアメリカだと100万ドル(約1億500万円)以内の住宅ローン借り入れであれば、ほぼ無制限に利子控除がある。支払った利子が所得から控除され、その分の税金が安くなるという仕組みだ。ローン期間や年収などの制限は一切なく、たとえば35年ローンだったら35年間ずっと税金が控除される。合計で1000万円以上戻ってくることもザラだ。そのため、アメリカでは国全体の住宅関係減税額は合計で15兆297億円(2003年)にものぼり、国民に大きな恩恵を与えている。

   それに比べて日本は2桁も少ない7080億円(2002年)に過ぎない(データは住宅生産団体連合会による)。しかも、わが国ではこのところ控除の枠が年々減らされているので、今はこれよりさらに大きく減額していることは間違いない。イギリスやフランスのように人口も国内総生産(GDP)も日本の半分以下の国でさえ兆単位の住宅減税がなされているのに、これはいったいどうしたことか。

   政府は道路や橋には兆円単位の出費を惜しまないくせに、国民生活の基本となる住宅のことはまったく眼中にないらしい。


「投資用」だと税金が戻る仕組みは富裕層優遇だ


   じつは日本でも不動産購入により税金の払い戻しを十分に受ける方法がある。自宅用ではなく投資用に物件を購入するのだ。そうすれば、借入金の金利はもとより減価償却やさまざまな必要経費についても控除が認められる。したがって、自宅を購入する代わりに、その資金で賃貸用のマンションを買うというのもひとつの方法だろう。そうすれば少なくとも税金面では有利となる。

   ただし、条件の悪い物件をあわてて購入して、家賃収入が滞ったりして資金が回らないような状況になったとしても、筆者は一切責任を取れないので悪しからず。

   ともあれ、同じようにローンで家を購入したとしても、投資用ならば十分に税金が戻り、自宅用ではほんの一部しか戻らない、というのは規制の大きな欠陥といえるだろう。これは結局のところ、投資用不動産の主たる購入者である企業や富裕層に対しての優遇政策に他ならないのではないか。

   国民はもっと怒るべきだ。


++ 枝川二郎プロフィール
枝川二郎(えだがわ じろう)国際金融アナリスト
大手外資系証券でアナリストとして勤務。米国ニューヨークで国際金融の最前線で活躍。金融・経済のみならず政治、外交、文化などにもアンテナを張り巡らせて、世界の動きをウォッチ。その鋭い分析力と情報収集力には定評がある。

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