「顧客に過度の期待を抱かせるな」 キャピタリスト・辻俊彦氏に聞く(下)ベンチャー企業の経営者や社員に向けたメッセージをまとめた「愚直に積め!」という本が出版された。著者はベンチャーキャピタリストの辻俊彦氏。IT化やグローバル化で経営環境が激変する今、ベンチャー企業の経営者はどうあるべきなのか。辻氏に聞いた。 ※ベンチャーキャピタリストが書いた新しいビジネステキスト『愚直に積め!』を15名様にプレゼント! ![]() ベンチャーキャピタリストの辻俊彦氏 ――このインタビューの「上」では、ベンチャー企業で働く社員の人に向けたアドバイスをうかがいましたが、今回はベンチャー企業の経営者はどうあるべきなのかについて、お聞きしたいと思います。ベンチャー企業というと、米国などでMBAを取得した人が華々しく立ち上げるというイメージもあるんですが、実際はどうなんでしょうか? 辻 それは、ベンチャー企業の現状を知らない人が抱く「妄想」でしょうね。ほとんどのベンチャー企業では、MBA的な効率性最優先の経営手法は通用しません。ベンチャー企業は大企業と違い「成功法則」が確立していないのですから、いたずらに効率性を追い求めても結果が出ません。それよりも失敗から学び、新たな仮説を実行していく「愚直な実行の積み重ね」が重要です。 ――「週100時間以上」とはすごいですね。そのような「愚直な積み重ね」を継続していくために、ベンチャーの経営者に求められることはなんでしょうか? 辻 ひと言でいえば、経営者の仕事は、ビジョン、すなわち夢を示すことと金繰りにつきます。夢を語り続けることによって社員の行動にスピード感が生まれ、キャッシュが尽きない限り、新たな仮説にチャレンジすることが可能になります。 ![]() 東洋経済新報社から出版された辻氏の著書「愚直に積め!」 ――経営者が社員を動かしていくうえで、気を配るべき点はなんですか? 辻 モノもカネも不足しているベンチャー企業で、成長を支える源はヒト、つまり「人財」です。ベンチャー企業ほど、社員の意識を経営に生かすよう努めなければいけません。ヒラ社員がどういう意識でやっているか。どれだけ社長の言っていることに共感できているかが、その会社の命運を左右します。どんなに作戦が良くても、実行部隊が動いてくれなければ失敗してしまうのですから。そのためには、当たり前のことですが、日頃のコミュニケーションが大事ですね。 ――社外の顧客との関係で注意すべきことはありますか? 辻 ベンチャー企業は、新しい価値を未来に創造していかなければなりません。その「未来」はターゲットとする顧客の心の中にあります。しかし「ニーズはなんですか?」と顧客に聞いても、モノあまりの今の時代、答えは返ってこない。ニーズを「探る」のではなく、「掘り起こす」ことにポイントがあります。 ――辻さんはベンチャーキャピタリストとして多くの経営者を見てきたと思いますが、経営者の資質として最も重視しているのは、どんな点ですか? 辻 難しい質問ですが、投資判断をするとき、私は経営者が「素直な人かどうか」を見極めるようにしています。ベンチャーの場合、事業計画書どおりに事業が進むことはまれです。普通は計画の倍以上の時間がかかり、その間に経営環境も大きく変化します。そのとき、自説を捨てて事実に向き合うことが経営判断をしていくうえで非常に重要になります。 ※「ベンチャーにはこんな人が向く」 キャピタリスト・辻俊彦氏に聞く(上) 【辻俊彦氏プロフィール】 ※ベンチャーキャピタリストが書いた新しいビジネステキスト『愚直に積め!』を15名様にプレゼント!(応募期間2008年3月3日~3月17日)。 >>>応募フォーム
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