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「耳かき新時代」 求めるのは心地よさ、それとも機能性!? 

   「耳かき」という言葉を聞いたら、どんなカタチを思い浮かべるだろうか。昔からお馴染みの耳かきといえば、竹製などで棒の先にヘラがあり、反対側には梵天と呼ばれる白綿。こうしたヘラ形状の耳かきは江戸時代に成立したと見られ、実に300年近くの伝統を持つ。しかし、最近では先端部の形状が変化し、素材も金属やシリコンなどさまざまなものが販売されている。

60万本を売り上げた21世紀の“ニュータイプ”耳かき

「21世紀の耳かき」を謳うミミダスは実売価格で1300円ほど。
「21世紀の耳かき」を謳うミミダスは実売価格で1300円ほど。

先端部は弾力性があり、柔らかく曲がる。耳に入れても、違和感はない。
「ミミダス」の先端部は弾力性があり、柔らかく曲がる。耳に入れても、違和感はない。

   そんな新世代の耳かきの代表格で、自ら「21世紀の耳かき」を名乗るのは、アクアクロス株式会社の「ミミダス」。柄の部分にアルミを採用するなど、見るからにシャープで機能的な印象を受ける。耳かきとしてはじめてグッドデザイン賞を受賞したのも頷ける。

   先端部はステンレスワイヤー製のスパイラル状になっている。一見すると固そうだが、じつは弾力性があり、柔らかく曲がるので、耳の中に入れても違和感はない。このヘッドで耳垢を絡め取る仕組みだ。従来の耳かきのように、耳の中を引っ掻きすぎて痛める可能性が低く、耳垢もよく取れるのだという。ネット通販などでは、「安心して子供の耳かきができる」といったレビューが多く掲載されている。

   販売店のひとつである東急ハンズでは、耳かきの売り上げランキング上位の常連で、ネット通販などでも、雑貨部門のロングセラー商品となった。1999年以来、60万本以上を売り上げている。

耳の穴をかっぽじって見られる"内視鏡耳かき"

   耳かきにそこまで――と驚かされる商品がある。株式会社コデンが2002年から販売する「イヤスコープ」だ。耳かき棒の先端近くに小型内視鏡を備え、光ファイバーケーブルを通して、ファインダーで耳の穴の様子を確認しつつ、耳垢が取れる。上位機種では、照度を調節する機能や、映像をTV画面に映し出せるものも用意されている。もっとも安価なもので、実売1万円程度だが、これも東急ハンズなどのランキングで上位に入る。

イヤスコープGL。照度調節機能付きで、耳以外の場所も見ることが出来る。
イヤスコープGL。照度調節機能付きで、耳以外の場所も見ることが出来る。

   「イヤスコープ」は耳かきと内視鏡を組み合わせるというコンセプトの根幹部分で特許を取得した。同社は「他では似たようなものは作れないはず」(同社広報)と胸を張る。もともと、主要事業は食品ショーケースの配線器具製造などであったが、「耳の中を見ながら耳かきが出来たら面白い」という社長の鶴の一声で開発を開始。後に、工業用スコープなどの波及製品もつくるようになり、「スコープ」シリーズ全体で約20万台を売り上げた。

   ハイテクや新素材を駆使した製品が次々と登場する耳かき新時代。もはや古い耳かきにはサヨナラすべきだろうか!? しかし、どうもそう簡単でもないようだ。新旧の耳かきを使った上で、昔ながらのヘラ型の方が耳をかく際の感触が心地よい、耳垢を取った満足感があるとして支持する声は、ネット上などでも決して少なくない。

   たかが耳かき、されど耳かき。そこに何を求めるか――貴方はネオ派、それともクラシック派?