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ヤフー「本家」は身売り目前? 「検索サービス」最新事情

   2008年1月29日、米インターネット大手のYahoo(ヤフー)が第4四半期の決算を発表した。純利益は約23%減で、全従業員の7%に当たる1000人規模のリストラ計画も公表された。その2日後には検索サービスGoogle(グーグル)の増収増益が発表され、ヤフーの"苦戦"ぶりが目立つ格好となってしまった。

検索もダメ、ポータルもダメ

減益を発表した米ヤフーのトップページ。ここから消えるサービスも!?
減益を発表した米ヤフーのトップページ。ここから消えるサービスも!?

   最新のある調査では、米検索市場でグーグルのシェアが66%、ヤフーは20.9%であり、年を追うごとに差が広がる傾向がある。

   もっとも、現在のヤフーは、多種多様なサービスを提供して集客する総合(ポータル)サイトであり、「検索」はワン・オブ・ゼムでしかない。ところが、その肝心のサービス事業が冴えないのだ。近年立ち上げたソーシャル・ネットワーク、ブログ等の有望ジャンルのサービスが不調で、減益につながったという。

   一方のグーグルは、ウェブ検索とその結果に連動した広告(Adwords/Adsense)がブレイク。もはや「Ads by Google」を目にしないサイトはないと言っていいほどだ。ヤフーは今後、提供するサービスを絞り込み、「検索および広告事業に注力する」と"本業"回帰、グーグル追走の姿勢を示すが、厳しい見方が広まっている。

マイクロソフトがヤフーを買う?

   シリコンバレーでは、ヤフーの身売り説が根強く噂されているという。その有力な候補は「マイクロソフト」。両者間には、たびたび提携話が持ち上がっており、2007年7月には買収・合併交渉が行われている。

   マイクロソフトのヤフーに対する関心は強いようだ。パソコンOSの支配者であるマイクロソフトは、インターネットの新世界にもWindowsロゴの旗印を立てるべく、ネット検索を含め、グーグルやヤフーと競合するサービスを大々的に展開してきた。

   しかし、それらをパソコン上で表示するブラウザー・ソフトを除けば、必ずしも成功しているとは言いがたい。今後、グーグルを追撃していく上でも、ヤフーのブランドとサービスは垂涎の的だろう。

   一方、これまでヤフー側にとってはマイクロソフトとの提携はメリットが薄いと見られてきたが、厳しい財務状況が明らかになってしまった今では、助け船に見えるかもしれない。

「漢字仲間」の百度に期待したい

百度で「ジェイキャスト」を検索すると3,620件。Googleの約1/5だった
百度で「ジェイキャスト」を検索すると3,620件。Googleの約1/5だった

   08年1月には日本の検索サービス市場でも新たな動きがあった。中国国内でグーグルを抑えてシェアトップの検索サービス「百度(Baidu)」が1月23日、日本で正式にサービスを開始したのである。

   国内ではヤフージャパンが検索シェアでグーグルを抑えてトップに立ち、二強体制を築いている。ポータル戦略でも、オークションを軸に手堅く収益を上げ、米ヤフーとは対照的な現状。そこに割って入ろうする百度がアピールするのは検索エンジン本来の「検索力」だ。

   「漢字(2バイト文字)には多義性がある」「単語と単語を区切るスペースがない」と、英語などの違いを挙げ、「中国発の検索エンジンだからこそ、これらの諸問題に対して技術的なアドバンテージがある」 との説明には、筆者は大きく頷いた。グーグルにしろ、ヤフーにしろ、そのシステムはローマ字検索用に作られており、「漢字ユーザーは何か損をしているのではないか」という不安がぬぐえなかったのだ。

   その意味では、国内の大手ポータルが独自のウェブテキスト検索の開発を放棄したのは残念だし、「漢字仲間」の百度には大いに期待したい。ただし、これまで百度を試したところでは、漢字の検索で、グーグル以上の精度は実感できなかった。また、表示される検索結果数も少ないようだ。

5年後の「勢力図」は予測不能!?

   百度のロビン・リー総裁兼CEOは「日本市場でも、グーグルやヤフーとも互角に戦えるサービスに育てたい」と意気軒昂だ。

   そんな報道を見ながらふと思い出したのは、2001年に国内でサービスを開始した「NAVER(ネイバー)」。韓国最大手の検索・ポータルとして、やはり鳴り物入りで上陸してきたが、それから約5年後にはひっそりとサービスを終了した。

   今から5年後、百度もネイバーと同じ運命をたどるだろうか。参考までに、今から5年ほど前を振り返ると、グーグルの検索連動広告がこうもブレイクするとは、ほとんど誰も予想できなかった。「検索でカネが儲かるのか」と疑問視する声が大きく、米ヤフーの凋落を予言する人も少なかった。

   今から5年後にはグーグルがネット界の「マイクロソフト」になってるかもしれないし、案外、百度がグーグルを買収してたりするかもしれない。