2024年 4月 20日 (土)

超絶テク「男女ギター」の衝撃 ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ

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『激情ギターラ!』
ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ
SICP-1771/2520円/2008年3月5日発売
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル


   考えてみれば、音楽を聴き始めておよそ半世紀が過ぎる。1958年、なにげなく聴いていたラジオのFENでON AIRされていたキングストン・トリオの「トム・ドゥーリー」に心を動かされた。当時小学生だった筆者には歌の意味も何も分からなかったが、耳で聴いたまま曲を覚えた。

   もちろんそれまでにもプレスリーやチャック・ベリーのR&Rや、イタリアン・ポップス、フレンチ・ポップスなどなど聴いてはいたが、なぜか「トム・ドゥーリー」がフェイヴァリット・ソングになり、中学時代には友達とキングストン・トリオのコピー・バンドを結成していた。

   当時はキャンパス・フォーク全盛で、マイク真木や、黒澤久雄、まだ高校生だった森山良子などが公民館などで開催されたフォーク・ジャンボリーに出演し、筆者も唯一の中学生バンドで出演したりした。音楽のもたらすある種の衝撃は、結構その後の人生に大きな影響を与えるものだ。めぐりめぐって結局、音楽を糧に生きている。

   そんな中、半世紀ぶりに衝撃的な音楽との出合いがあった。ギター・デュオ、ロドリーゴ・イ・ガブリエーラだ。もともとメキシコでスラッシュ・メタル・バンドをやっていた2人が、何のいきさつからか、アコースティック・ギター・デュオとなり、2004年にヨーロッパで火がついた。

   なぜ火がついたのか? それは超絶的なギター・テクニックだから、だけではない。音を聴けば分かるのだが、あまりにも激しく熱情的な、表現欲求の成せる業だろうと思う。スパニッシュ(フラメンコ)、ラテン、フォーク、それにロックといった、ジャンルを越えるというより、むしろない交ぜにしたような音。カオスすら感じるのだが、ほとばしる2人の熱情が聴く者を瞬時に高みに引き上げてしまい、いささかも躊躇している暇はない。あっという間に聴き終える。

   ことにガブリエラ・クインテーロのパーカッシヴ・ギターとでも言うべき演奏は、これまでのギター奏者が創り上げてきた世界とは異なる。こんな音楽があったんだ、心底そう思わされる。心を向けずに聴けば、単に程度の良いフラメンコに聴こえる人もいるだろうが……。

   レッド・ツェッペリンの「STAIRWAY TO HEAVEN」、メタリカの「ORION」なども演奏しているが、アレンジは驚異的で、曲自体が全く別の次元に連れ去られていっている。こんな音と若い感性が出合ったら、なにか衝撃的な結末がいつかありそうな気もする。

   ここでは08年3月に発売された日本デビュー・アルバムを紹介しているが、7月16日に「超絶テク~男女ギターデュオ登場!」というシングルが発売される。こちらから聴いてみることをオススメする。3月の初来日に続き、7月にはFUJI ROCK FESTIVAL08への参戦が決まっている。


【激情ギターラ!収録曲】

1.TAMACUN
2.DIABLO ROJO
3.VIKINGMAN
4.SATORI
5.IXTAPA
6.STAIRWAY TO HEAVEN
7.ORION
8.JUAN LOCO
9.PPA
10.SENORITA XXX

●『超絶テク~男女ギターデュオ登場!』
   1575円/2008年7月16日発売

加藤普



◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70〜80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。


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