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「スウォッチ」が仕掛けた ビーチサンダル付き腕時計

   今年はビーチサンダルをよく見かける。国際的なブランド「ハワイアナス」は台と鼻緒だけでなく、チャームがたくさん用意されている。自分のオリジナルを手軽に組み合わせることができるのが人気だ。葉山のビーチサンダル専門店「げんべい」では台10色、鼻緒10色の組み合せを自由に選べる。これに加え、このところ様々なところでコラボレーションをしている。

   渋谷の街を眺めていてもすでにビーチサンダルの人がけっこういるのに驚く。まだ梅雨明けもしていないのだけれど。気軽だからビーサン、ではなく、おしゃれにビーサンと受け止められ方がすっと切り替わったようだ。

「腕時計で遊ぶ」の拡大バージョン

時計のケースとサンダルが一体化している
カラフルなウレタンの真ん中に腕時計がおさまっている

ウレタンをバラバラにして使う。キーホルダーもついている
バラバラにすると、サンダルと時計、キーホルダーに

   何か面白いビーチサンダルはないものかと物色していたわけではないが、スウォッチが早くも仕掛けてきていた。

   ビーチサンダル付きのスウォッチ「サンデー・シューズ」。ウレタンの台をくり抜いて、その台をそのままパッケージに利用。真ん中にサンダル柄のベルトを付けたカラフルな腕時計。鼻緒には堂々と「SWATCH」と書かれている。これで値段は通常のスウォッチと変わらない。洒落た工夫だ。キーホルダーまでついていて、これでサンダルと腕時計とキーホルダーがおそろいになる。

   高級機械式腕時計ばかりがこのところ話題になっているが、クウォーツにはこういう楽しい工夫の場が残されている。そこをスウォッチはこれからも広げていくのだろう。腕時計で遊ぶというところから拡大して、シーンを提示した遊びを見せていくのに違いない。

腕時計はもっとも成熟した市場

銀座のスウォッチ・グループのビル
銀座のスウォッチ・グループのビル

   その一方で、今ではスウォッチ・グループという存在もできている。ラグジュアリー層ではブレゲ、ブランパン、グラスヒュッテ・オリジナル、オメガ等のブランドが並び、高級時計としてロンジン、ラドー、中級価格帯ではティソ、カルバンクライン、ハミルトンと様々な価格帯を多くのブランドでグループを組むことで実現している。そして低価格帯としてスウォッチが位置づけられている。

   それぞれの価格帯がそれぞれの役割を持っている。それは銀座のスウォッチ・グループのビル、ニコラス・G・ハイエック センター(設計は坂茂氏)を見れば一目瞭然だ。

   腕時計はもっとも成熟した市場だと言える。このビルの中でも数千円の腕時計から1億円超までの腕時計に出会うことができる。ほぼ同じ機能ながらも、かたや手作りで職人が長い年月をかけて作り上げたもの。かたや型ひとつで様々なデザイン柄を組み込むクウォーツ。腕時計の世界はまだまだ広がってくのだろう。




◆坂井 直樹 プロフィール

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

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