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私がしたことは殺人なのか、「川崎協同病院事件」のあの医師が問う

『私がしたことは殺人ですか?』
『私がしたことは殺人ですか?』

   殺人なのか、はたまた尊厳死なのか――。延命治療中止をめぐって「命の倫理」が争われた「川崎協同病院事件」で、最高裁から殺人罪を適用され、懲役1年6月、執行猶予3年の判決が確定した、元・川崎協同病院呼吸器内科部長・須田セツ子さんの『私がしたことは殺人ですか?』(青志社)が話題になっている。

   終末期医療の問題は高齢化社会のなかで極めて身近なものとしてとらえられるようになった。今回の事件では、筋弛緩剤の意図的な大量使用が焦点になったのだが、いざ訴訟となると、関係者が予想外の証言をしたり、責任転嫁に及んだりすることもあるようだ。

   「終末期の延命治療を中止にすることが『殺人』とされるなら、病院の医療者はもちろん、在宅医療を担う家族にも、いつ理不尽な刑事訴迫の火の粉がふりかかりかねません。 もう『安らかな死』は選べないのでしょうか」と須田さん。

   医師不足や診療科の偏りが問題になっている昨今だけに、考えさせられる本だ。

   単行本(ソフトカバー)、248ページ。定価1470円。