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6割以上の人が理解していない「保険の現実」

   ちょっと気になる調査結果が明らかになった。「震災後に『見直したもの』実態調査」(アクサ生命保険が2011年6月実施)に協力した1万人のうち、医療保険とがん保険に加入していて、保険証券及び約款を東京の会場まで持参できる30~50代の男女60人が選ばれ、加入保険への「認識」と実際の「保障内容」を比較する調査を行ったところ、ギャップを感じている人は61.7%にも上っているのだ。

治療は入院型から通院型へ

実際の保障とギャップがあるのは「通院型治療」の保障ばかり
実際の保障とギャップがあるのは「通院型治療」の保障ばかり

   特に、実際に保険の保障を受けた人の中で、ギャップを感じた「保障内容」としては、緩和ケアや化学療法、通院時ガン治療費、退院後通院治療費などがあげられた。「通院治療費」にギャップを感じている人が多い背景には、病気治療が、入院型から通院型へと変化している状況がある。厚生労働省の調査では、2002年の外来患者数11万9700人が、2008年には15万6400人へと増大。また、通院治療費も1998年の5553億円から、2008年の9430億円にまでハネ上がっている。「先進医療保険、通院の保障があると思っていたのになかった。社会人なので入院をできるだけせずに通院ですませたいので、不安に感じた」という会場調査の際に挙がった声が示すように、これからの保険は「通院治療」の保障が手厚いかどうかが重要ポイントになっているのだ。

   また、注目すべきは、2005年を「分岐点」として、自身が加入している保険の保障満足度に差が表れていることで、2004年以前に加入した人は「十分な保障でないと思う(あまり+まったく)」と思う人のほうが、「十分な保障だと思う(十分+まあ)」と思う人よりも多く、2005年以降に加入した人は「十分な保障だと思う(十分+まあ)」と感じる人のほうが多いという傾向があった。

   理解度のギャップ項目(緩和ケア、化学療法など)は、それすなわち、保険会社による「がん保険の保障内容の差」だと考えられる。つまり、A生保では、緩和ケアの保障は付いていても、B生保ではないといったケース。保障がないのはデメリットである一方で、その分の保険料は安くなっているメリットもあり、大事なのは、安心できる保障内容と納得できる保険料負担となっているかどうかだろう。

保険は自分で…2005年が「分岐点」に

   調査結果で、2005年が「分岐点」になっている点について、ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子氏は、

   「思い返すと『見直しブーム』が2003~2004年にかけてあったことが少なからず影響しているのではないでしょうか。保険は、勧められるがまま加入するものではなく、自分で選ぶことが見直された時期です。こうしたアンケートで、くっきりと分岐点が示されるのも、非常に興味深いですね」とし、こう続けた。「保険は加入時にはよく理解していても、時間の経過とともに理解が風化してしまう傾向があります。保険会社のこうした意識調査が、加入者自身の保険内容に対する理解を深めたり、あらたな気づきや見直しのキッカケになるのは非常に有益なことだと思います」。