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絶品!「挿し絵」で味わう岩波文庫の料理法

   芸術新聞社から発売されている単行本『「絵のある」岩波文庫への招待』(著・坂崎重盛)が好評を得ている。

「八十日間世界一周」「絵のない絵本」

『「絵のある」岩波文庫への招待』
『「絵のある」岩波文庫への招待』

   岩波文庫といえば、「和洋の古典」「古今の名著の殿堂」というイメージだが、じつは、魅力的な挿し絵や図版の宝庫でもあった。そこに気がついた著者は、「絵のある岩波文庫」約120タイトル、冊数にして約190冊を手にする。

   本書で紹介しているのは「サロメ」(ビアズレー)や「柿の種」(寺田寅彦)、「新編 東京繁昌記」(木村荘八)、「脂肪の塊」(ファルケ)、「ダフニスとクロエー」(ボナール)、「ビゴー日本素描集」(ビゴー)、「八十日間世界一周」(ジュール・ヴェルヌ)、「絵のない絵本」(アンデルセン)など。

未知の貴重な世界を開示

   いずれの書籍に掲載されている挿し絵も、命が宿っているかのごとく躍動し、テキストとはまた異なった次元で語りかけてくる。

   坂崎氏はあとがきにこう記す。

「挿し絵は本の花であり、果実なのでした。岩波文庫は、文字による内容の伝達だけではなく、挿し絵や図版のビジュアルを供することによって、未知の、貴重な世界を私たちに開示してくれていたのです」

   なんとも粋な本の「味わい方」だ。

   単行本、368ページ。定価2730円