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公務員ランナー川内優輝はいま何思う 愛読小説は「世界最高記録」目指す物語

『ヒート』(堂場瞬一・著)
『ヒート』(堂場瞬一・著)
実業之日本社

   26日の東京マラソン、「無職ランナー」藤原新選手が2位に入る一方で、注目を集めた「公務員ランナー」川内優輝選手は惜しくも14位に終わった。
   ロンドン五輪に「黄信号」が点った川内選手だが、その胸のうちはいかなものだろうか。そのヒントは、この本にあるかもしれない。過去の遠征時、移動中の機内で熟読していたというマラソン小説、堂場瞬一・著『ヒート』(実業之日本社)だ。

   『ヒート』の舞台は、日本男子マラソンの長期低迷傾向に歯止めをかけるため新設された「東海道マラソン」。神奈川県知事の指令のもと、あらゆるお膳立てがなされたレースは終盤、思いがけない展開を見せる。

「山城に、世界最高記録を狙わせろ!」
「こんなレースはインチキだ――」

   困難と矛盾をはらんだ「世界最高記録」をめぐる男たちの人間ドラマと、疾走感100%のレース展開を圧倒的な筆力で描ききる『ヒート』からは、世界を目指す川内選手の闘志の一端を感じることができそうだ。川内選手のように注目を浴びる桧舞台に上がることのない私たちにも何かをやり遂げる力を与えてくれる、そんな一冊といえるだろう。