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二大イベント「金環日食」「スカイツリー」 関連本で雑学を

【2012年4月22日(日)の各紙から】今年はガイドブックやその関連本の当たり年だ。それも日食や月食の天文現象が続々と起き、東京スカイツリーも開業する、これからが本番。日経と朝日がそれぞれの話題を読書欄に取り入れた。手軽に読めて、本によってはそれなりの広がりもある。話題にのりながら知識や雑学を深めたい人にはおすすめだろう。

天文ブームに独自色を競う出版花盛り

『金環日食を見よう!』
『金環日食を見よう!』

   5月21日、全国の広い地域で金環日食が。地球から見て太陽と月が一直線に並ぶ。月に遮られた太陽の光が金色のリングのように輝く天体ショーだ。1987年に沖縄で見られて以来、実に四半世紀。書店をにぎわす関連本を、日経で文化部記者が紹介している。

   月刊天文ガイド編集部の『金環日食を見よう!』(誠文堂新光社)は、日食が起きる仕組みや観察方法をわかりやすく解説する。情報量の多さが特長という。『金環日食パーフェクトガイド』(沼澤茂美・脇屋奈々代著、成美堂出版)は日食の美しい写真を収めた。『Newton5月号臨時増刊 金環日食2012』(ニュートンプレス)は観察記録が書き込める。

   日食を安全に見るための「観察サングラス」付きの本もあり、地域によって見え方が異なることも、案内本の売れ行きを後押しする。

   2012年中に見られる天文現象は、このあとも6月4日に部分月食、同6日には金星の太陽面通過、さらに8月中旬のペルセウス座流星群、同14日の金星食と目白押しだ。当然、天体について知りたいというニーズが高まる。きれいな写真のビジュアルブックや星に関する伝承と芸術を解説した事典もあり多彩、どの出版社も独自色を競っている。

軟弱地盤にどうやって直立タワーを?

   5月のスカイツリー開業に刺激された「タワー本」の流行を、朝日「ニュースの本棚」がとり上げた。工事現場の内部を紹介する類書の中で「秀逸」と評者の橋爪紳也・大阪府立大教授がいうのは『東京スカイツリー』(平塚桂著、ソフトバンククリエイティブ)だ。軟弱な地盤にほぼ直立する「超々高層建造物」をどうやって建設したかが説明される。

   『スカイツリー 東京下町散歩』(三浦展著、朝日新書)は、建設を契機に再評価される押上・向島界隈を丹念に観察。『超高層ビビル』(3部作、中谷幸司著、社会評論社)は、電波塔以外のタワー、すなわちオフィスビルやマンションを紹介。日本国内とアジア各地などの文化や思想を反映した個性的なタワー群が登場する。

   朝日のこのコーナーは、高名な学者らがこむずかしい言葉を駆使し、ときには庶民感覚とかけ離れたとしか思えない書評が続いた。今回はタイムリーなうえにわかりやすい。こうでなければいけない。

(ジャーナリスト 高橋俊一)