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「ミニテル」サービス終了 「ネット普及遅らせた」フランス人の誇り

   フランステレコムは、情報通信サービス「ミニテル」の提供を2012年6月30日に終了した。フランスをはじめとする海外メディアが「哀悼」の意を表する記事を掲載している。

フランス・ワイド・ウェブ

   1982年にフランス全土での提供を開始して以来、30年にわたる歴史に終止符を打った。

   ミニテルは、コンピュータネットワークシステム・ビデオテックスの通称だ。端末を通じて、交通機関やホテルの手配、チャットなどのサービスを利用できた。

   1993年には650万台のミニテル端末が稼動する(仏レクスプレス、6月30日付)など、世界で唯一のビデオテックスの成功例だった。

   フランスのインターネットの普及が2000年ごろと、諸外国と比べて遅れをとった原因の1つともされる。仏ルモンド紙(6月29日付)はその様子をwww(ワールド・ワイド・ウェブ)とかけて「フランス・ワイド・ウェブ」と称した。

約67万台のミニテルが稼動し、1800のサービスを提供

   そんな経緯からかフランス人のミニテルへの愛着は相当なもののようだ。英インディペンデント紙(6月9日付)によると、フェイスブックで「ミニテルに帰ろう」と呼びかけるフランス人がいる。また、パソコンを使えない高齢者が愛用しているともいい、実際、終了時まで約67万台のミニテルが稼動、1800のサービスが提供されていた。

   英BBC(6月28日付)が引用したジャック・シラク元仏大統領の1997年の発言からもミニテルがフランス人の誇りであることがうかがえる。

「今日では、オーベルヴィリエ(パリ郊外の都市)のパン屋だってミニテルをつかって銀行口座の確認ができるんだ。ニューヨークのパン屋でもおなじことがいえるかね?」