2024年 4月 19日 (金)

【書評ウォッチ】ひげと人間の関係は のびたり剃られたり時代を反映

人気店や企業から非公開の招待状をもらおう!レポハピ会員登録

   ひげを通じて歴史を考えるというユニークな『ヒゲの日本近現代史』(阿部恒久著、講談社現代新書)が日経と読売新聞に載った。その有無や扱い方は男性のファッションだけではなく、時代の雰囲気や政治軍事までを反映する。

   概して「ひげ有り」は男らしさ・権威・強さ転じて軍事力や戦争、「ひげ無し」は安定・平和・秩序のイメージか。すぐにそうとも言い切れないが、読めばそれなりの根拠が浮かんでくる。現代は多彩なひげが見られる一方で、永久脱毛に走る男性も。そういえば、ひげの政治家があまりいないのは選挙でうけないから? ひげと人間を多角的にとらえようとした一冊だ。【2013年8月25日(日)の各紙からII】

有りは権威、無しは秩序?

『ヒゲの日本近現代史』(阿部恒久著、講談社現代新書)
『ヒゲの日本近現代史』(阿部恒久著、講談社現代新書)

   ひげの現職国会議員は自衛官出身の佐藤正久氏、戦後の首相では半世紀以上前の幣原喜重郎、石橋湛山氏ら5人ぐらい。田中角栄、三木武夫の両氏はひげつき写真も残っている。こんな感じで戦後政治家にあまり多くはないことを日経の評者・ノンフィクション作家の塩田潮さんが整理している。ただし、この本からすると、日本人のひげが少数派だったとは必ずしも言えない。

   戦国時代の武士はひげを蓄えることが多かったらしいが、江戸幕府は禁令を発した。明治期は大流行、大正デモクラシー期はひげ無しが拡大、戦時体制で復活した。戦後は、サラリーマン社会の拡大とともに消えていき、現在ではおしゃれの一部としてよく見かける。で、有りは強さの、無しは秩序の重視という分類が。

   反対にいえば、歴史や社会の底流を探るとき、ヒントの一つにもなるということだ。してみると、部分ひげや男性脱毛も入りまじる現代は、まずは混沌。これから、その「底流」がどちらへ向かうか見逃せない。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中
カス丸

ジェイキャストのマスコットキャラクター

情報を活かす・問題を解き明かす・読者を動かすの3つの「かす」が由来。企業のPRやニュースの取材・編集を行っている。出張取材依頼、大歓迎!