2024年 4月 19日 (金)

霞ヶ関官僚が読む本
ネット通販からIT企業の先駆けへ ベゾスがアマゾンで目指すのもの

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「the everything store (何でもあるお店)」(ブラッド・ストーン著、Bantam Press)

   英国フィナンシャルタイムズ紙の2013年「ブックオブザイヤー」に選ばれた本書は、あのアマゾン社とその創業者ジェフ・ベゾスの一代記である。今では当たり前のようになったネット通販という産業は、たかだか20年弱の歴史しかないが、世界中の流通業界、出版業界、音楽業界そして私たちの消費行動を激変させた。インターネットの誕生とともに、誰もが思いつくことのできたビジネスモデルだが、なぜアマゾン社がここまで成功できたのか。そして、アマゾンが単なるオンラインショップを超えて、グーグルやアップルに並ぶ産業イノベーションの企業である実態を本書は丁寧に解き明かしてくれる。

バブル崩壊も不変の首尾一貫

the everything store
     the everything store

   実は、アマゾン社が傑出した存在になった理由は、ベゾス自身の言葉で3点に集約されている。3つとも全て紹介してしまうと本の売れ行きが落ちてアマゾン社に怒られるかもしれないので1つだけ明かすと、それは「長期的視点」ということである。アマゾンの成長初期段階では、徹底した売り上げ増、顧客ベース拡大の戦略がとられた結果、収益はいつも大幅な赤字であった。その中で2000年からのドットコムバブル崩壊が起き、アマゾン自身も投資アナリストからの容赦ない攻撃を浴びることになる。そこで通常の経営者であれば、四半期ごとの株主収益価値の向上に集中して、拡大路線を諦めることになるのだが、ベゾスは、社債発行や固定費削減といったキャッシュフロー改善のための常套手段を駆使しつつも、規模拡大と顧客サービス追及路線(=低価格、迅速配送)を変更することはなかった。この首尾一貫性が2003年以降の米国景気回復の中でアマゾンをネット通販事業者の中で群を抜く存在に押し上げることになる。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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