2024年 3月 29日 (金)

【書評ウォッチ】警察はなぜ動かないのか 連続少女誘拐殺人の闇とは

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   刑事ドラマのようにはいかないのが実際の事件捜査だ。誤りもある。だからこそ検証報道が必要だ。『殺人犯はそこにいる』(清水潔著、新潮社)は、連続少女誘拐殺人事件を調べた記者が捜査のあり方に疑問をぶつける、まさに問題作。執念の取材で容疑者の無実・釈放を勝ち取り、真犯人の情報を警察に提供する。しかし、警察は動かない。動けば、DNA型鑑定の疑問が他の事件にまで影響するためなのか? これでいいのか、厳しく問いかけている。【2014年2月09日(日)の各紙からⅠ】

「使ってしまった」からDNA鑑定できない?

殺人犯はそこにいる
殺人犯はそこにいる

   北関東の群馬県太田市と栃木県足利市で1979年からの17年間に4歳から8歳の少女5人が誘拐または殺害される事件が起きた。うち一件の殺人容疑で足利市の当時45歳の独身男性が逮捕された。ところが、その後も隣の太田市で似た事件が。著者が調べてわかってきたのは、ずさんな捜査やDNA鑑定の問題点。この報道から再鑑定へ、09年にはついに無実が明らかにされた。いま「足利事件」とよばれる冤罪だ。

   著者は「桶川ストーカー事件」で犯人を突き止めた元雑誌「FOCUS」記者。彼の取材も、本の中身も、ここでは終わらない。「足利事件」の真犯人を探し、「ルパン三世に似た男」をあぶりだしたというのだが。

   警察は「犯人のDNAは鑑定で使ってしまった」と再鑑定に動こうとしない。著者は「司法がなりふり構わず葬り去ろうとする」「事件の歪んだ構図」と鋭く指摘する。

   警察の言い分はどうも不自然だ。DNAを保存していなかったとすれば、それ自体が捜査の基本に反する。著者の情報を100%信じないにせよ、DNA以外の捜査もできるはずだ。これでは「隠蔽」と言われてもしかたないだろう。しっかりしてくれ、日本の警察。

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