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6月4日の虫歯の日を前にフォーラム 予防先進国フィンランド、成果の秘密はキシリトール

   2014年6月4日の虫歯の日を前にし、「デンタルケアフォーラム2014」が5月10日、東京・千代田区でおこなわれた。

   「むし歯予防先進国」であるフィンランド・トゥルク大学名誉教授のカウコ・マキネン氏が来日し、研究チームがおこなってきたキシリトールの虫歯予防効果の研究結果を発表した。

「治療より予防重視の医療制度」に変えた

フォーラムに先立ち取材に応えるマキネン氏
フォーラムに先立ち取材に応えるマキネン氏

   マキネン氏は10年間の臨床実験データでキシリトールのむし歯予防効果を実証し、13年に最新研究論文を発表している。

   虫歯予防と言えば歯みがきと思われがち。ところが、歯磨きをする平均回数は日本人が1日約2~3回に対し、フィンランドでは0.9回といわれるにもかかわらず、80歳での残存歯は日本が約12本なのに対し、フィンランドは約25本と、歯磨きの回数と反比例している。

   その秘密を、マキネン氏はこう話す。

「歯や口の中に何かトラブルがあった後に治療するよりも、トラブルが起きる前から予防する方が、結果的に安く済み合理的である、という『予防歯科』の考え方を国(厚労省)・歯科医師会・保健所が一体となって推進してきました。
   虫歯をつくらない口内環境のためには、唾液の分泌が大切です。そのためにはガムを噛むなどして唾液を分泌させ、歯を保護することが重要。その際、砂糖入りのガムではなく、虫歯予防効果があるキシリトール配合のガムを定期的に噛むことです。国を上げてガムを噛むことを推奨してきた結果、今では就寝前にもガムを噛むというレベルまで浸透しています」

   フィンランドでは1975年に「治療より予防重視の医療制度」に変えたことで、国民の予防意識を高め、さらに80年代から国をあげてキシリトールによるむし歯予防習慣の啓発を推進。歯磨きをしなくてもむし歯にならない方法について、大学での研究が積極的に進められているほか、自治体がキシリトールガムを無償支給するなど、一般社会でのキシリトールによるむし歯予防も浸透している。