2024年 4月 24日 (水)

【書評ウォッチ】投打二刀流、破天荒なサムライ選手 なぜか懐かしい昭和の匂い

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   後半戦に入ったプロ野球では、日本ハムの大谷翔平投手がオールスター戦で日本最速タイの球速162キロを出して話題になった。『「あぶさん」になった男 酒豪の強打者・永渕洋三伝』(澤宮優著、KADOKAWA)は、投打両面で活躍した「二刀流」の先輩で、今の球界にはいなくなった型破りの豪傑を描くスポーツノンフィクションだ。

   人気マンガ「あぶさん」のモデルといわれる。投げて、打って、走って、飲んで。二日酔いでもやることはやる一方で、外野を守りながら嘔吐したとの伝説も。酔いどれの剣豪を思わす「酒仙の首位打者」は、実際のプレーを知らない世代にまで、なぜか懐かしい郷愁を感じさせる。はるかな昭和の匂いに人が心惹かれるように。【2014年7月20日(日)の各紙からⅡ】

打席に立つと震えが止まる「酒(主)力打者」

『「あぶさん」になった男 酒豪の強打者・永渕洋三伝』(澤宮優著、KADOKAWA)
『「あぶさん」になった男 酒豪の強打者・永渕洋三伝』(澤宮優著、KADOKAWA)

   永渕洋三は佐賀県内でも有数の進学校からエースとして甲子園に出場、社会人野球の東芝を経て1967年に当時の近鉄バッファローズの入団テストを受けた。形式的にはドラフト2位で指名され、その契約金で飲み屋のつけを払ったという。

   投手登録だったが、デビューは代打で、初球を初打席初本塁打。そのまま投手として登板した。この年は三原脩監督に投手兼外野手として使われた。身長168センチと小柄ながら、のちに首位打者をとったこともある。ただし、それより有名だったのはその酒豪ぶりだ。

   連日一升は軽く飲み、酒の匂いをプンプンさせながら試合に出て、打席に立つと震えが止まったという伝説がある。こういう話は大げさに伝わるものだが「酒(主)力打者」「酒仙永渕」と呼ばれ、一部のファンやマスコミ関係者から愛された。「なるべく練習せんようにしていました」などと、どこまで本気かわからない言葉も残している。

   「努力する姿を一切見せないところにプロの凄(すご)みを感じさせる。同時に、当時の野球界のおおらかな空気も、この本の中に凝縮されている」と、東京新聞と中日新聞の評者・荻原魚雷さん。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中
カス丸

ジェイキャストのマスコットキャラクター

情報を活かす・問題を解き明かす・読者を動かすの3つの「かす」が由来。企業のPRやニュースの取材・編集を行っている。出張取材依頼、大歓迎!