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自民総裁選VS米大統領選 「新たな歴史」つくるのは…

   民主党バラク・オバマ対共和党ジョン・マケインが大接戦を繰り広げるアメリカ大統領選。一時は前者が10ポイント近い差をつけていた支持率が2008年8月に入って急接近、同月25日には、後者が2ポイント逆転した。

オバマブームに陰り

   共和党ブッシュ政権の「イラク政策で国際社会におけるアメリカの威信が大きく低下し、経済も停滞」(国谷裕子キャスター)し、民主党有利といわれる状況で、共和党が意外な善戦を見せているのは、オバマブームの陰りとマケイン陣営の戦略だと番組は伝える。

「オバマ氏は経済について平均的なアメリカ人が共感するような形で具体的なメッセージを打ち出せていない。そして、アフリカ系アメリカ人が大統領になることにわだかまりを感じている人たちがまだいるということ。一部の人たちは、自分は人種差別主義者ではないけれど彼を支持することに抵抗がある、と世論調査で語っている」

   オバマ人気が下火になった背景についてこう話すのは、30年にわたってアメリカ大統領選の取材を続けてきたという公共テレビPBSの女性キャスターだ。

   マケインにはグルジア情勢も追い風になった。グルジアに駐留をつづけるロシアを、彼はいち早く「G8から排除すべき」と強い口調で批判したのだ。一方のオバマは、対話での解決を主張している。タカ派対ハト派の構図といえるかもしれない。2人の支持率が逆転したのはグルジア紛争後のことである。

「娘妊娠」ペイリン起用のカケ

   マケイン陣営が力を入れるのは「ヒラリー票」の取り込み。民主党の大統領候補指名を最後までオバマと争ったヒラリー・クリントンは1800万票を得たという。その支持者の中には「マケインに投票して抗議の意思を示す」と公言する女性もいる。こうした女性層の支持拡大の狙いもあってマケインが副大統領候補に抜擢したのがアラスカ州の女性知事、サラ・ペイリン(44)である。

   ペイリンの起用が直ちに「ヒラリー票」獲得に結びつくか疑問だし、共和党大会の最中に、彼女の未婚の長女(17)が妊娠していたことが明らかになるなど、この人事はカケの要素を孕む。が、よかれあしかれ、民主党の副大統領候補に比べてサプライズ度で上回ることは確かだ。

   「CHANGE」を唱える47才の若き黒人エリートが勝つのか、経験豊富な72才の「ベトナム戦の英雄」が制するのか。結果は約2か月後に判明する。先のPBS女性キャスターは「最後の最後までし烈な戦いになる」と予想し、「どちらが選ばれてもアメリカの新たな歴史をつくることになる。史上初のアフリカ系大統領か、最初の女性副大統領か」と言った。

   国谷キャスターによると、勝敗を分けるポイントは無党派層の動向らしい。無党派が何%くらいを占めるか教えてほしいところだった。

   たまたま日本では自民党の総裁選、民主党の代表選が現在進行形で、どうしても比較してしまう。こちらではドラマチックな展開も、「新たな歴史」もムリだろう、悔しいけれど。

アレマ

   * NHKクローズアップ現代(2008年9月4日放送)