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米金融危機「これからの怖さは?」 「まだひと波乱も…」

   「アメリカ発金融危機は食い止められるか?」と題し、サブプライムローン問題に端を発し、世界の金融界を未曽有の混乱に陥れている金融危機を取り上げた。

米政府の「矢継ぎ早」対応

   番組はまず、この 金融危機の激震ぶり検証……

   米証券業界大手の『ベアー・スターンズ』や『リーマン・ブラザーズ』の経営破綻に続いて、米大手銀行の『バンク・オブ・アメリカ』が業界3位の『メリルリンチ』を買収。それも束の間、火の粉はこれら金融機関などに不良債権の「保証」を行っていた米最大手の保険会社『AIG』に飛び火した。

   この段階で、金融危機に鈍感といわれていた米政府があわてて救済策に乗り出した。まずFRB(米連邦準備理事会)がAIG に最大850億ドル(9兆円)の 緊急融資を決め、続けて75兆円の公的資金を投入し、不良資産の買い取り機関の発足を打ち出している。

   米政府が矢継ぎ早の対応をせざるを得なかった背景には、AIGが破たんした場合、通常の保険のほかに、サブプライムローン市場を陰で支えていた不良債権の「保証」システムへの計り知れない影響があったから。

   この問題に詳しい国際金融アナリストの草野豊己がスタジオに生出演し次のように解説した。

   「保証料を払う見返りに、融資が焦げ付いたら代わりに融資分を頂戴ネ、というのがCDS (クレジット・デフォルト・スワップ)契約。

   もともとは(19)95年から銀行同士が保証し合うことから始まった。銀行間同士のため、保証料は高めに設定され、規模は(20)01年で4000億ドルと大きくなかった」という。

「とどまるところ知らない」クレジットバブル

   ところが、ここにAIGが参入。保証料を保険契約上の「保険料」に見立て、安い保証料でどんどん顧客を拡大していった。さらに資本力のないヘッジファンドまでが引き受け手側に参入し、保証料はどんどん下がっていった。

   しかも「保証」の対象を通常の融資から社債、証券化商品にまで拡大していった。

   「一方、銀行はいくら高リスクの融資をしてもCDSを介在して保険つなぎができるので、危険なところへもどんどん融資。とどまるところ知らないクレジットバブルが起きていた」のだという。

   国松キャスターが「これからの怖さは?」という疑問に、同じく生出演した東大大学院教授の伊藤隆敏は次のように答えた。

「証券化ビジネスがルールを踏み外し、証券化ビジネスモデルとして立ち行かなくなった。転換期になるでしょう。最悪期は脱したと思いたいが、まだひと波乱もふた波乱もあるでしょうね……」

   翻って見ると、米国の今回の金融危機は、かつての日本のバブル経済に似ている。ただ異なるのは、「鈍感」と揶揄された米政府がその後次々と打ち出した対応の早さ。

   日本は、対応の遅れと政策ミスから「失われた10年」を招いた。

モンブラン

   *NHKクローズアップ現代(2008年9月22日放送)