<ティンカー・ベル>世界一有名な妖精ティンカーベルの知られざる物語を描いた本作。4部作という壮大なプロジェクトの第1弾である。
妖精の谷ピクシー・ホロウでは妖精たちが春を届けるために準備をしていた。妖精たちはみな生まれつき何らかの才能を持っており、春の準備のためにいろんな場面で自分の力を発揮する。準備が整うと妖精たちは人間界=メインランドへと春を届けに行く。どこからともなく訪れる季節や自然の変化は、妖精によって運ばれてくるとはいかにもディズニーらしくて夢がある設定だ。
ティンカーベルもメインランドへ行くことを夢見ていたが、よりによって生まれ持ったのは一見地味なモノ作りの才能。メインランドにも行けず、嫌気が差したティンクは他の才能を持つ妖精たちに技術を教わり、自分もメインランドに行けるように協力して欲しいと頼む。
好奇心旺盛でトラブルメーカーのティンクは妖精とは言い難いじゃじゃ馬である。自分がメインランドへ行きたいあまり、友達を巻き込んで出来るはずもない技術を取得するために特訓する。しかしいつまでたっても出来ないとヤケになり、最後にはピクシー・ホロウ全体にまで迷惑をかけてしまう。ティンクのこの行動が『夢を叶えるために頑張っている』というふうに見えなくもないが、単なるわがままな妖精にしか見えてこない。後半、ティンクは一念発起して妖精としての役割をきちんと果たすのだが、このティンクの行動を通して映画が訴えるメッセージは、ディズニーらしからぬものである。
「夢は信じればきっと叶う」をコンセプトに今まで製作されてきた映画はいくつかあるが、今回は現実的なことを突きつけている。いくら努力して信じたところで叶わない夢だってあるのが現実。出来ないことを無理に吸収するよりも、自分が持っている才能を生かして夢に近づく方法だってあるということだろう。
最後にチラッと『ピーターパン』でおなじみのキャラクターが登場する。4部作だと先が長いように感じるが、これからどのような展開になるのか、またティンクがどんな妖精に成長するのか楽しみである。
ジャナ専 巴麻衣
オススメ度:☆☆☆