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「文春」「新潮」発売前日の一転W辞任で大慌ての「工作」

   鳩山由紀夫首相の辞任に、一番あわてたのは木曜日発売の文春と新潮ではないか。両誌の校了は火曜日の夕方。しかし何か動きがあれば、校了を遅らせても取材させたに違いない。だが、火曜日の夜の、小沢一郎幹事長と鳩山首相の会談後には、鳩山首相の粘り勝ちという見方をほとんどのメディアがしていた。

   夜のテレビのニュースでは、会談を終えて出てきた小沢氏と輿石東参議院議員会長の表情に比べ、鳩山首相は左手の親指を立てて余裕の笑みと解説していた。

   それが一夜明けて、大逆転の辞任劇である。今週号でどんなタイトルを付けた特集を組んだのだろうか。両誌の編集長はどのような思いで、この会見を見たのだろうか。

なんとか「辞任」の2文字を間に合わせたが…

   両編集長には悪いが、興味津々で朝早く、まず朝刊を開き、両誌の広告を見た。新潮は「『鳩山内閣』騒々しい臨終の内幕」とある。さすがタイトルには定評のある新潮だ。鳩山首相が辞めても辞めなくてもどちらにも使える「臨終」という言葉を持ってきた。「自業自得の辞任劇」「さらば『鳩山幼稚園』」とあるのは、急遽付け加えたものだろう。

   だって、右側のトップ記事が「『鳩山総理』の未来が映らない幸夫人の水晶玉」というヒマネタなんだから。

   文春は、右トップに「完全ドキュメント 鳩山降ろしの『怒号と悲鳴』 また『政権投げ出し』が!」とあり、「鳩山VS小沢『抱き合い心中』全暗闘」と特筆大書。これはもしかすると、水曜日朝の辞任発表で、輪転機を止めて書き直したのかと思わせるに十分なタイトルである。あわててコンビニに買いに走った。

   文春を開くが、トップ記事は、松田賢弥氏と本誌取材班が元小沢の秘書・高橋嘉信氏から聞いた「小沢一郎『13億円略奪!』」。1992年に経世会が分裂後、経世会の金庫から13億円を、小沢の指示で小沢の私邸に運び込んだという爆弾証言。

   鳩山首相の記事は3番目で、それもタイトルは「社民党なんかにコケにされる鳩山降ろしの『怒号と悲鳴』」で、「抱き合い心中」などどこにもない。その上、広告で大きく扱っている「小沢幹事長はワガママ参院議員にイヤ気がさした」「辞任前夜共同通信が配信した『号外対応』」などは、この記事の中で数行触れられているだけだ。

   まったく「鳩山辞任」を想定していなかったことは、ジャーナリスト上杉隆氏の寄稿文を読めばわかる。ここにはこう書いている。「筆者は一貫して、選挙前の首相退陣はない、と言っている。小沢幹事長がこの時点で鳩山首相と再三会っていることこそ、退陣がないことの証だ。なぜなら、ここで首相を辞めるとなれば、小沢幹事長の進退問題に話が及ぶ可能性があるからだ」

   皮肉なことに、最後の最後で、鳩山首相はリーダーシップを発揮し、小沢氏を道連れに辞任した。

同情はするけれど、広告と本文が違いすぎる

   想定外の事態が起きたとき、私のときも、新聞広告を全面的に手直しし、一見、前日までの動きが入っているかのような「工作」を何度もやった。だから、文春には同情する。 しかし、新聞広告(中吊り広告もたぶんそうなのだろう)と本文との、このものすごい乖離を読者は何と思うだろう。幸夫人と福島瑞穂社民党党首の「金と男とファッション」研究を中心に据え、小細工を労さなかった新潮のほうが、読み応えがあると思うのは、私だけだろうか。

   今週の他のお薦め記事を3本。杉並区長を11年務め、名区長と謳われた山田宏氏に、愛人と隠し子がいて、二重生活を送り、取材で追い詰められると、突然区長を辞任して「日本創新党」から参院選に立候補するという「迷走ぶり」を追いかけた「ウソつき山田宏日本創新党党首のマンションに『女と子ども』」(朝日)。

   激安弁当や250円牛丼が話題になっているが、安い食べ物には、安全に配慮されていないものが多いと警告する「大特集 食べてはいけない」(現代)。回転寿司はニセモノだらけで添加物は当たり前で、特にガリに注意だそうだ。激安弁当は油分と塩分のかたまりで、カロリー表示は当てにならない。

   30代独身男性520人に、SEXについて聞いている「彼女にいえないSEXの不満、何ですか?」(AERA)。約10人に1人がSEX未体験。セックスとマスターベーションのどちらが快感があるかという問いに、セックスが33.1%、マスターベーションが11.8%。相手に失望したことでは、口臭・体臭、受け身である、体形、反応が鈍い、行為を制限されるの順番。セクシーだと感じる有名人ベスト3は、優木まおみ、藤原紀香、米倉涼子。