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「校庭放射能汚染」抗議辞任の内閣官房参与に説得力

   「被曝して子どもが産めなくなったら、補償してくれるんですか」と15歳の少女が訴えた。4月30日(2011年)に開かれた福島・飯館村の住民説明会。東京電力の鼓紀男副社長は謝罪したものの、質問には答えられなかった。

飯館村独自調査で学校移転

   飯館村は原発から30キロ圏外にもかかわらず、放射線量が高いため計画的避難区域に指定された。住民の怒りが爆発した。

「安全だというのはウソじゃないか」
「役員は財産を全部出して丸裸になって詫びろ」
「これからはわれわれ同様に仮設住宅に住め。マンションでうまいもの食って酒飲んで、ふざけんな」
「放射線量が高いからと引っ越し業者も入ってこない。風評被害にもあっている」
「いちばん詳しい人が危険性を指摘しなかったら、だれが指摘するのか」
「内部被曝の影響は20年30年経って出てくる。子どもたちが村が再生して戻ってくるときまで補償してくれるのか」
「補償なんて要らない。家と働く場所だ」「2年、3年経ったら、飯館村の田んぼはコメができなくなる。農民に死ねと言ってるのと同じ」
「東電のみなさん、ずっと飯館にいたらどうです」

   そして「15歳です」と切り出したのが、冒頭の女子高生だった。

   「隣の川俣町の高校へ行ってますが、もっと遠くへ去った人もいます。理由がわかりますか」「なんで防波堤を高くしなかったんですか」と畳みかけた。

   村の幼稚園児、小中学生はいま隣の川俣町までバスで通っている。村は3月中旬に独自に環境を調査した。その結果、校庭などから6~7マイクロシーベルトを観測したため、学校などの移転を決めていた。

国際放射線防護委員会の基準値1~5ミリ、官邸は20ミリ

   先に政府は学校の校庭の利用基準を年間20ミリシー ベルト以下と決めたが、これを不満として、小佐古敏荘・東大教授が内閣官房参与を辞任。「この数値を幼児に適用することは、学問上からのみならず受け入れられない」と涙を流して波紋を投げた。

   小佐古教授は「発電所の作業員の平均が1.5ミリシー ベルトですよ。昨年は20ミリを超えた人はいなかった」といい、会見に立ちあった原子力災害対策本部「助言チーム」座長の空本誠喜・民主党衆院議員も、「官邸でも20は高いという議論があったと聞いている」と話した。その空本議員がスタジオで説明した。

「小佐古先生はわたしと同じ広島出身で、国際放射線防護委員会の委員を12年間つとめた。委員会は1~5ミリとしている。これが認められなかった。納得できなかった」

   青木理(ジャーナリスト)は「気持ちはわかるが、なぜやめたのか。なかで発言した方がいいのでは?」と質問。

   空本「官邸の壁が厚く、1人では破れなかった」

   石原良純(タレント)「もう1回議論ということはないのか。外れたら議論ができるのか」

   司会の羽鳥慎一「数字のどっちを信ずればいいのか」

   原子力安全委員会は短い論議だけで決めてしまったともいわれる。だれかがわかる言葉で語らないといけない。