東日本大震災から半年、「何が変わって、何が変わっていないのか」―。
いつもは軽快に始まる「あさイチ」だけれど、9月12日(2011年)はさすがにイノッチ(井ノ原快彦)キャスターの直球コメントで始まった。震災から6か月が経って、大きな問題になってきた「失業状態」を宮城県気仙沼の現状から伝えた。
気仙沼市の木村優子さんは母親と娘の3人暮らし。仮設住宅に入れたが、震災で勤め先のスーパーマーケットを解雇され、以来仕事がない。仮設住宅では光熱費は住民負担である。電気代も食費も底をつきはじめているため、母親はテレビもクーラーも節約する。ハローワークの求人欄は男性向きの仕事ばかり。車も買えない。「仕事がないのでローンが組めない」とため息をつく木村さん。9月初旬にようやく水産加工会社に採用が決まった。
被災地では求職に対する求人の割合は、女性ではたった2割だ。スタジオの小林孝司アナが説明する。「たとえば、女性が求める事務職は92人の求人に手を挙げている人が697人、製造業は68人に対して1147人と厳しい」
ゲストの宮崎美子(女優)は「(求人の給料があまりに安く)人をバカにした給料と言われた人の声が棘みたいに刺さって…。でも雇う人も大変だろうし」と絶句する。
海沿いにあったフカヒレ製造会社は大津波に飲み込まれた。なんとか生産再開にこぎつけた専務・石渡久師さんはこう話す。
「ウチは山に倉庫があったので縮小して再開したが、規模は全盛期の20分の1。雇いたい気持ちは凄くあるけれど、行政の動きがうまく進まない」
国や自治体は「早期復興」と言うけれど、かけ声ばかりで現場は放り出されたままだ。
被災しなかった住民たちも、仕事がなく追い詰められている。高台に住む堀内輝夫さん宅は幸い無傷だったが、それゆえ支援は一切受けられない。しかし、職場は被災して解雇。8人暮らしの3人が失業し、月々15万円の住宅ローン返済で貯金を使いはたしてしまった。ハローワークで見つけた就職先は月々10万円。とても間に合わない。
イノッチ「家が残っていて、見た目は良かったですねと思っちゃいますけどね。そうじゃない」
被災者向けの失業保険給付は延長されたものの、それも10月には切れる。
磯G