2010年の日本の人口は1億2806万人だったが、2046年には1億人を切って9913万人、さらに2060年には8674万人になるという予測が発表された。衝撃的なのは65歳以上の割合だ。2010年には23%だったが、2060年には39.9%になる。きのう30日(2012年1月)に厚生労働省が出した「将来の推計人口」試算だ。
48年後までに4000万人も減る。いまの関東1都6県の人口がそっくりなくなるということである。その時の年齢構成は、0~14歳が9.1%,15~64歳50.9%、65歳以上39.9%という「超高齢化社会」だ。つまり、2.5人に1人が65歳以上。いまは高齢者1人に現役世代は2.8人だが、2060年には1.3人になってしまう。大和総研主席研究員の鈴木準氏は「経済や社会に非常に大きいインパクトをもたらす。衰退ももたらすし、いまの社会保障の仕組みのままでは負担がかなり重くなる」という。
その頃に高齢者になる20代の女性たちは、「それでは支えるのが無理なので、(年金)制度がなくなっちゃうのかな」「少子化とかいわれてるけど、子どもに大変な思いをさせちゃうから、(いらない)とのは言ってますね」
鈴木研究員は少子化対策と個人の生産性を上げることだというが、後者は具体的には年寄りになっても働ける人は働くということになるらしい。いや、今でも働いている人はいた。ライフネット生命保険では定年をなくしてしまった。いま85人中7人が60歳以上だ。出口治明社長(63)は「高齢化社会にふさわしい人間の働き方だと思います」という。
別の企業を定年退職してから入社した社員(63)は、「仕事が続けられるのはありがたい。必要とされる限りはつとめさせていただけたら」という。20代の社員たちは「元気ですね。いろんなことをご指導いただいてる。働ける人が増えれば、支える分が楽になる」「知識も豊富で、何も定年でやめなくてもいいと。すごくいい」と話す。
出口社長は「定年制は高度成長で成り立つシステムであって、(今後は)高齢者も働かなければこの国は成り立っていかないのではないか」という。年寄りが働けば統計上の年寄りの割合は減る。いや、お見事。
司会の羽鳥慎一「定年てなんだろう」
赤江珠緒キャスター「そうですねぇ」
羽鳥は「この数字はインパクトありますね」
舘野晴彦(月刊「ゲーテ」編集長)「わかりやすいですねぇ。企業は定年を上げていくでしょうし、高齢者も働くようになる」
羽鳥「高齢者って何歳なんだろうと、認識が変わってくる」
むろん、年金、介護、雇用すべてが変わってくる。少子化対策ではフランスの成功例が参考になるだろう。しかし、今の国会を見れば、現行の矛盾の解消ですらあの騒ぎ。こんな長い視点の持ち合わせはないようだ。宮田佳代子(フリーキャスター)はこう話す。
「働きながら子育てをしたいと思う人はたくさんいるが、子どもを預けられなかったりして今は働けない。街の声でも、大変だから生まないって言ってました。でも、この数値はいまに始まったことではない。前からわかっていたのに、なぜ少子化や年金その他の対策をとらなかったのか」
まさにそこだ。突き詰めれば、そんな程度の政治家を選んできたわれわれに返ってくる話になる。日本の民主主義はその程度。