2024年 4月 23日 (火)

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しずちゃん「頭部異常」記事にすべきだったか五輪まで待つべきだったか

   ロンドンオリンピックを目指してトレーニングに励むお笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代(33)は、人気タレントということもあって大きな注目を浴びている。しかし、2月の全日本女子選手権では優勝したものの、3月の女子アジア選手権(モンゴル)では1回戦で格下で17歳年下の韓国人ボクサーにボコボコにされ、レフリーストップで敗退してしまった。彼女にとってオリンピック出場最後のチャンスは、5月に中国で開かれる世界選手権でベスト8に入ることだが、かなり難しいとの見方が多い。

   そこに「数か月前からしずちゃんが、頭部の検査で異常が見つかったようだ」と囁かれていると「週刊朝日」が報じた。朝日が取材を進めると、日本ボクシングコミッションが指定する病院の医師が、自覚症状はないが頭部のCTスキャンの結果、脳に水がたまったような薄い影が見られたため、別の病院でMRI検査をするように伝えたと話す。MRI検査で脳の影が確認されたため、しずちゃんはプロへの道をあきらめたが、その後のMRI検査で影も消えたため、アマチュアでオリンピックを目指すことにしたという。

   ボクシングは危険なスポーツである。アマはヘッドギアをつけて試合をするため頭部へのダメージは少ないとはいうものの、安心はできない。スポーツ医療関係者は、命懸けでやるという選手を止めることはできないが、選手自身が過去にそうしたことがあったと開示するべきで、その都度、精密検査を受けて本当に問題がなければ堂々と試合に出たらいいと話す。

   だが、しずちゃんはそのことを隠していた。朝日は「これは命にかかわる問題である。しずちゃんが『命懸け』であっても、本誌は知らないふりをすることはできない」と、しずちゃんのトレーナーや彼女の母親、本人に直撃するのである。母親は元体育教師だったこともあって、ほかのスポーツと違ってボクシングが危険なことは承知しているが、彼女が必死に頑張っているいま、そのことは書かないでくれと話す。当のしずちゃんは最初は落ち着いて答えていたが、次第に語気を強めてこういった。

「ボクシングって、誰がやっても危険じゃないですか。危険を伴うスポーツなので、何が起こるかは誰もわからない。これ、記事になるんですか? (異常は)言いたくないし、そういう目で見られたくない。記事を書かれて、もし世界選手権の出場がダメになったら嫌なんです」

   この記事が出ることによって、本当に彼女が世界選手権に出られなくなったら…。そう考えると、週刊朝日編集部も躊躇したのだろう。彼女の夢を奪うことになるかもしれないからだ。こうしたとき、記事にはせず、彼女にいまいちどMRI検査を受けさせ、もし異常なしとわかればよし、異常が見つかった場合は引退させ、その後、その間の経緯をすべて書くという方法もあったとは思う。私が編集現場にいたらどうしただろうか。悩ましい問題を抱えた記事である。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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