2024年 4月 25日 (木)

衛星打ち上げビジネス熾烈な受注争奪―日本は技術あるが商売下手

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   5月18日(2012年)に「種子島の宇宙センターから打ち上げられたH2Aロケットは、韓国の衛星を無事軌道に乗せた。純国産技術による悲願達成だ。「商業利用にはずみがつく」と三菱重工は胸を張ったが、国産ロケットを取り巻く環境は必ずしも明るくない。

   三菱がこの分野に参入したのは5年前だ。コスト削減のために、政府から打ち上げ事業をまかされた。衛星打ち上げをビジネスとして成り立たせるには、年間4基が必要だという。世界で打ち上げられるのは1年間に約20基。これをヨーロッパ、ロシア、中国が奪い合う市場だ。

国別実績はヨーロッパ42%、ロシア26%、中国21%

   韓国の衛星は2年の交渉の結果だった。しかし、米の人工衛星メーカーは打ち上げ条件として「期日通りの打ち上げ」「信頼性」「妥当な価格」をあげる。数が少ないと「価格」が高くなる。韓国の次はまだ話がない。担当者は必死だ。

   技術の方も安泰ではない。H2Aロケットの部品は100万点にもなる。ほとんどが一次下請けだけで370社という中小企業が、ときに採算を度外視して支えてきた。これも数が出なければ撤退もという企業が50社はある。そうした一つ、愛知の三光製作所は社員50人でエンジンの燃料パイプを手がけてきた。1000分の1ミリ単位のトップレベルの技術を持つ。ロケットにかかわることで得た技術だ。売り上げの半分をロケットが占める。社長は「ロケットがなくなると、会社もなくなる」という。

   静止衛星打ち上げの国別実績は、ヨーロッパ42%、ロシア26%、中国21%である。欧州各国が出資するトップのアリアンスペースは300基以上を打ち上げ、最近の成功率は97%と日本の95%を上回る。日本の衛星もこれまでに22基を打ち上げているが、アリアンを選択した「スカパーJSAT」は、「技術的な問題が起きたときに、不具合のデータベースをたくさん持っているので、タイムリーに対処できる。確実に打ち上げられるサービス、これが一番」という。

   日本宇宙フォーラムの吉冨進・理事は「宇宙間輸送は国家技術と位置づけられ投資してきた。基幹技術では米欧と肩を並べられるレベルにあるが、 ビジネスという観点が欠けていた」という。

   アリアンスペースの母体である国際組織「ヨーロッパ宇宙機関」の設立憲章には、宇宙産業の育成が目的のトップにあげられている。根底にはヨー ロッパ独自のロケット技術を持つという戦略がある。かつてアメリカに振り回された苦い歴史を踏まえたものだった。

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