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国連「北朝鮮制裁」ほとんど効果なし!加盟国の半分が実施状況も報告せず

   3度目の核実験が成功したと大はしゃぎの北朝鮮はきのう14日(2013年2月)、平壌の金日成広場で盛大な祝賀式典を開いた。まあ何万人いたか、広大な広場が軍服 で埋まった。何しろ言葉がすごい。「(アメリカが攻めてきたら)アメリカの息の根を止めて、必ずや祖国統一をはたす」「敵対勢力が圧殺の度合いを高めるなら、より高いレベルの対応措置を講じることになるだろう」――これを普通の言葉に直すと、「次の核実験をやるぞ」となるわけだ。

   労働新聞も「われわれの偉業は正当であり、最後の勝利はわれわれのものだ」と書き、「米が核実験にどのような圧力と侵略を敢行しても、われわれには通じない。制裁にも戦争にも準備はできている」という金正雲第1書記の言葉を伝えた。

安倍首相、オバマ大統領に追加制裁措置提案

   困った国が困ったオモチャをもってしまった。小型化した核弾頭がアメリカまで届くとなったら、北朝鮮はアメリカ国民を人質にとったことになる。安倍首相は電話でオバマ大統領と会談し、追加制裁措置を含む新たな国連安保理決議への連携で一致した。安倍は金融制裁の必要も述べたという。衆議院は核実験抗議決議を全会一致で採択した。

   韓国国防省はきのう北朝鮮全域に到達可能な巡航ミサイルを実戦配備したと映像つきで発表した。はたしてこれらがけん制になるのかどうか。国連で北朝鮮制裁委員を務めたことがある山本武彦・早大教授が解説した。2006年09年の核実験のあと、大量兵器開発の関連物資や技術、通常兵器、贅沢品の輸出入の禁止、金融資産の凍結などが実施されたが、山本氏は「結論からいうと効果はほとんどなかった」とあっさりと言う。国連の制裁で成功したのは、90年代のハイチだけだそうだ。

これまでに効いたのは「2005年のマカオの銀行資産凍結」だけ

   司会のみのもんた「安倍さんの話もダメ? 効果がないというのは北も相当巧みにやっているわけだ」

   山本「北朝鮮関係で唯一効果があったのは、05年のマカオの銀行資産を凍結したときだけ。これは相当なボディーブロウで効いた」

   尾崎弘之(東京工科大教授)「各国連携しないと効果は上がらないんです」

   みの「北朝鮮に味方する国があるということですか」

   山本「加盟国の半分が制裁実施状況を提出しないんです。アジアでは28か国が提出してない。日本のような厳しい国は少ないです」

   みの「国連ってのはそんないい加減な組織なんですか」

   山本「それをいっちゃうと具合が悪いんですが…」(爆笑)

   与良正男(毎日新聞論説委員)「金融以外に何か考えられるのでしょうか」

   山本「最後の手段が金融で、他の貿易関係は出尽くしている。あと可能なのは食料、エネルギーですが、国連は非人道的な制裁は行わないという暗黙の了解があります」

   与良「あと中国ですね」

   山本「制裁にも関わらず、昨年度の中朝貿易は史上最高でした」

   いくら制裁を決めてもいっこうに効果がないというのは、要するにそういうことなのだ。