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次はいつどこに?「隕石落下」早期発見せよ!軌道を修正せよ!

   「1日1個の割合で地球のどこかに落下しています」と流星や小惑星研究が専門の渡部潤一・国立天文台副台長は説明した。「クローズアップ現代」は放送予定を急遽変更して、15日(2013年2月)にロシア南部・チェリャビンスクに落下した隕石を取り上げた。

強力衝撃波はいつ発生するのか

   落下の瞬間を撮影した地元大学生は「爆発が起きた後に強い衝撃波を感じました。第3次世界大戦が始まったのかと思ったほどだ」と話す。

   キャスターの国谷裕子「隕石が閃光を発しながらチェリャビンスクの上空を通過したのが午前9時20分頃、その2分25秒後に強力な衝撃波が地表の建物などを襲いました。このような強い衝撃波が、なぜ発生したのでしょうか」

   渡辺「隕石は上空でバラバラになって、その1個1個から衝撃波が発生したものと思われます。隕石が地球に突入したときの突入角度が浅く水平に飛んでいます。この浅い突入角度が隕石をより分解しやすくしたのでしょう」

   落下する隕石がごく近くを通過した旅客機のアルヒポフ機長は、「着陸に向けて高度を下げた時にまばゆい火の玉を見ました。どうか無事に通り過ぎてくれと祈るしかできなかった」と語る。飛行機の進行方向右側から飛来し、目の前を横切った後すぐに爆発音が聞こえ、副操縦士は顔に熱を感じたという。

ディープインパクト作戦や太陽帆作戦

   国谷「今回のような現象は専門家の間でも、珍しいといわれています。この隕石はどこから飛んできたのでしょうか」

   渡辺「火星と木星の間にある小惑星帯から始終飛んでくるのですが、流れ星は砂粒程度なので燃え尽きてしまいます。大きいと地表に達するわけですが、直径10メートルクラスで数十年から100年に1個、100メートルクラスで数万年、10キロクラスで数千万年に1個ぐらいでしょう」

   隕石が地球に落下するリスクを回避するため、どのような研究が進められているのか。「スペースガード財団」は日本など世界の7つの天文台をむすんで、「地球に接近してくる小惑星をすみやかに見つけて、危機回避の研究を進めています」(研究センター・浦川聖人太郎助教)という。

   地球への衝突が予測されたらどうするのか。米国NASAが進めているのが「ディープインパクト」だ。ロケットから小惑星にインパクターという弾丸で衝撃を与えて追いやる作戦である。日本は小惑星に帆のようなものを張り、太陽光の圧力で軌道をズラす方法が検討されている。こんなところにも、力でやっつけるアメリカ、巧みにかわす日本と、お国柄が現れている。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2013年2月18日放送「ロシア隕石落下の衝撃」)