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街の弁当屋悲鳴!「アベノミクスでも値下げ戦争」食材卸からは値上げ

   アベノミクスの勢いが止まらない。黒田東彦氏の日銀総裁就任で「黒田相場」がもてはやされ、きのう8日(2013年4月)は日経平均株価が4年7か月ぶりに1万3000円台を回復、円相場も1ドル99円台に突き進んだ。だが、その陰で「アベノミクスなんて冗談じゃないわねえ」と吐き捨てるようにいう弁当店のおかみさんもいる。円安・株高の裏側を「チェイス!直撃御免」コーナーで探った。

来年4月の消費税アップまでこのままでいくしかない

   オフィス街の激安弁当店はデフレの象徴のようにいわれたが、景気回復ムードで浮き立つ今も値下げ戦争は進行中だ。アナウンサーの渡辺和洋がランチタイムの東京・虎ノ門に向かった。ランチを求める大勢のサラリーマンやOLたちの後をつけてみると、長い行列があった。並べられた値札は290円。

   次に都心を出て下町の葛飾区に行くと、「毎日満足 200円(税込210円)」という看板があった。16種類の弁当すべて200円という。このところ、食材の卸売業者からは連日のように値上げの通知がくるが、店長は「お客さんの手前、値上げはできません」。だが、こうも言った。「消費税が上がるタイミングでいろいろなことを考えていかなきゃと思っているんですけど」。今の価格で我慢するのも来年4月の消費税アップのときが限界ということらしい。

円安・株高効果実感できるのは早くて半年、長いと2年先

   キャスターの小倉智昭「企業の倒産や負債総額が減ってきているというニュースもありましたが、庶民レベルでは(景気回復の)まったく実感はないでしょう」

   渡辺アナ「(景気回復どころか)円安の負の部分の波が輸入業者から卸売業者、弁当店の目前まで迫って来ている状況ですね。来年4月には消費者まで達します。これを負ではなく、いいインフレの波にするには給料が上がらなくてはいけません」

   コメンテーターの竹田圭吾(国際ジャーナリスト)は「円安や株高の効果を生活者が実感できるようになるには早くて半年、長いと2年ぐらいかかる。今の時点で逆風だといってしまうのは、アベノミクスにフェアじゃない。ここでインフレのマイナス面ばかり強調すると、せっかく回復に向いてきたものを腰折れさせてしまう」と中長期的な見方を示した。

   アナウンサーの笠井信輔も同調するように、「ずっとデフレスパイラルが問題だと伝えてきて、回復の兆しが出てくると、また逆の面で困る人も出てくるが、そこを何とか折り合いつけていかないとダメなんですね」

   何かにつけてマイナス面を強調するのはメディアの習性だが、「いつでも、どこでも、なんでもかんでも反対」でも困る。