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エジプトついに軍介入!大統領解任し与党幹部拘束で全権掌握―両派一触即発

   ムルシ大統領の辞任を求める大規模デモが続いているエジプトで、日本時間のきょう4日未明(2013年7月)、ついに軍が介入して全権を掌握し、大統領を解任して身柄を拘束したと現地メディアが報じた。これによってアラブの春は終わるのか。大統領支持派も集会・デモをしており、情勢は予断を許さない。

ムスリム同胞団は軍や治安幹部襲撃!死者8人

   エジプトではモルシ大統領の辞任を求めるデモが全土に広がり、大統領支持派とも衝突して死者まで出していた。軍は大統領、反対派双方に政治合意を求めて介入の脅しをかけたが、ムルシ大統領は「正統性を守る。私の命が必要なら 血を流す覚悟はできている」と徹底抗戦を表明した。

   このため軍は、野党勢力や宗教界など各方面の指導者とともに会見して、「モルシ大統領の権限剥奪。最高裁長官が職務を引き継ぐ」という声明を発表した。これに対して大統領は、フェイスブックを通じて「軍によるクーデターだ」と解任を拒否したが、軍は大統領の身柄を拘束し、幹部の出国を禁止した。

   カイロ市中心部のタハリール広場を埋めた大群衆は、「アラーは偉大なり」「エジプトよ永遠に」「われわれは勝った」と口々に叫び、花火を打ち上げるなどして大統領解任を喜んでいる。別の場所では大統領支持派も集会やデモを繰り返しており、一触即発の状態だ。

   その広場のライブ映像が流れた。2年前のアラブの春を上回るような数の群衆が深夜の広場を埋め、小競り合いも見られる。フジテレビの佐々木亮カイロ支局長によると、地方では、追われたムスリム同胞団が軍や治安幹部を襲撃して死者8人を出していると伝える。

   まだ大規模な衝突はないが、軍は同胞団幹部の拘束をはじめており、政府系放送局も管理し、同胞団系のテレビ局は閉鎖されたという。カイロ市内の要所を軍が固めており、不測の事態に供えているらしい。

アラブの春は終わったのか…。頭痛い「二股支持」のアメリカ

   司会の小倉智昭「アメリカはどう出るのか。軍を支持していたし、モルシ大統領も支持していたが、クーデターとなると…」

   高橋和夫・放送大学教授は「アメリカの法律では、選挙で選ばれた政権を軍がクーデターで倒したときは援助ができなくなるんです。しかし新政権を支えたいから、この事態を何と呼んだらいいのか、議会には『クーデターだ』いう人もあり、オバマさん困ってる」

   小倉「双方が民衆の上に乗っかってる。真っ二つなんですか」

   高橋「選挙では民衆の4分の1くらいがモルシさんを支持し、ムバラクを倒した若い人たちは『選挙を同胞団にもっていかれた』『こんなはずじゃなかった』とう感じをもっていますね」

   小倉「民衆の軍に対する信頼はあるのでしょうか」

   高橋「軍はしっかりしてますから、民衆にしたらやってくれたという感じでしょうね」

   田中大貴アナ「アラブの春は失敗だったということでしょうか」

   高橋「まだ結論は出ていませんね。デモができるようになったことだけでもすごいことだから、進歩なんだけど、2年で民主主義がというのは早すぎる。もっと時間をあげたい」

   われわれはどうもせっかちだが、エジプトの民衆はもっとせっかちで、生活への不満を自由に表明できるというのも立派な前進だ。ただ、組織として一番しっかりしてるのが軍というのは、やはり前途多難。