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「三鷹ストーカー殺人」警察も被害者も家族も気づけなかった「最も深刻なレベルの危険性」

   ストーカーによる凶悪事件が起こるたびにマスコミで「なぜ危険は見過ごされたのか」が問題になるが、「クローズアップ現代」は東京・三鷹で女子高生が元交際相手に刺殺された事件について「検証」した。それはもちろん主として警察についてである。

迫っていた最悪事態!「俺は死ぬ」「写真をばらまく」と脅し上京

   800件のストーカーケースを分析しているというストーカー被害相談NPO理事長の小早川明子さんは、危険は明白だったと見る。容疑者が「俺は死ぬぞ」「もう1度つきあわないと写真をばらまく」などと言っていたことや、京都在住の容疑者が東京の女子生徒の自宅周辺に2度も現れたことは、「最も深刻なレベルの危険性」を示していたとする。

   NHK記者は被害実態の把握が十分でなかった可能性を指摘した。被害者が警察署に相談に訪れた際、両親が同席する形で聞き取りが行われていた。被害者には両親がいると言いにくいことがあったかもしれず、そのため被害実態を十分伝えられず、切迫性が見逃されたかもしれないというのである。

   こうした指摘は誠にもっともに思える半面、過去のいくつかのストーカー事件で見られたような、直接、事件につながったと思える警察の具体的な過失や怠慢が明らかになったとも言いがたいようである。

アメリカでは警察だけでなく、民間の支援団体、学校、職場が連携

   以前の番組で、過去の交際時などにDVを働いていたストーカーは凶悪化する危険度が高いという話があった。それはデータも示していることで、筋が通っていた。しかし、今回の「検証」で、遠距離ストーカーであることと凶悪さの相関性は実証的でなかった。また、行為自体はささい(な犯罪)とも言えるストーキングから、将来的に起こるかもしれない凶悪事件の可能性を見抜くのは容易ではないといった疑問も出ていた。

   ストーカー先進国のアメリカの取り組みが紹介された。ワシントン州シアトルでは、警察だけをアテにせず、民間の支援団体や学校、職場など周囲の人たちがストーカー被害への関心、意識を高く持ち、連携して何重にも「繭のような安全網を築く」(全米犯罪被害者センター)ことで凶悪ストーカー事件を防ぐことに成功しているそうである。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2013年10月22日放送「なぜ危険は見過ごされたのか~検証 三鷹ストーカー事件~」)