2024年 4月 18日 (木)

「減反廃止」補助金頼み止めるチャンス!「コメつくらないと儲かる」やっぱり変だ

   政府は5年後をめどに減反制度(生産調整)の廃止を打ち出した。40年以上続いた農業政策の大転換だ。規模の拡大ができると期待を抱く農家がある一方で、補助金頼りの零細農家の将来は暗い。安倍首相は「農家自らの経営判断で競争力の強化を」というが、農業をここまでダメにしてしまった元凶はだれなのかといいたくなる。

零細農家「農業続けられない」

   北海道・長沼町の駒谷信幸さん(71)はいま10ヘクタールでコメを作っている。減反前は60ヘクタールもあった。減反は29歳の時だ。「減らさないと補助金がもらえない。みんな意欲をなくした」という。

   駒谷さんは減反地で玉ねぎやジャガイモをつくりながら、ブランド米「ゆめぴりか」を消費者やスーパーに直販している。10キロ4500円はやや高めだが、全国から注文が来る。「これからは消費者のニーズに合わせて、自分の考えで自由に作物が作れる」と期待する。

   しかし、こうした農家は少ない。農産品に占めるコメの割合は21%に過ぎないが、数ではコメ農家が圧倒的だ。その6割が1ヘクタール未満という非効率な零細農家である。支えてきたのが補助金で、その象徴が減反だった。

   茨城・城里町の兼業農家・古滝初男さん(63)の水田は1.5ヘクタールだ。去年のコメ収入は130万円、補助金60万円、その他で計196万円と年金で暮らしている。5年後にはその60万円から21万3000円が減る。古滝さんは品質の高いコメを作ってきた。「ななかいの里のコシヒカリ」は全国コンテストで最優秀もとった。しかし、中山間地で規模の拡大はできない。「生き残ろうという情熱はあっても、5年後が見えない。成り立たなければ止めざるを得ない」という。

   日本総合研究所の三輪泰史研究員は、減反廃止で「攻めと守りの色分けがはっきりした」と肯定する。減反には(1)伸ばしたいのに減反(2)モチベーションの高い層を抑えてしまった(3)その結果、高いコメ――という矛盾があったという。新方針は意識の高い層が農業を産業化するという方向性を出した。これが「攻め」だ。ただ、山間地の環境や文化を守るという別の仕組みでのサポートも必要という。「減反見直しと補助金はパッケージだが、情報が出て来ないのでみな不安になっているんです」と話す。

文   ヤンヤン
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