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増える『送骨』宅配便でお寺に遺骨送り供養・埋葬依頼!1件3万円から

   埼玉県熊谷市にある創建426年という「見性院」に先週、宅急便で小包が届いた。橋本英樹住職が受け取り段ボール箱開くと、出てきたのは遺骨だった。納骨の依頼だ。なんとも味気のない寂しい風景だが、寺に宅急便で遺骨を送り埋葬と供養を依頼する「送骨」が広がっているという。

   背景にあるのは少子高齢化の広がりや孤独死の増加だ。住職によると「送骨専用のパッケージ」というのがあって、合同墓による永代供養を含めて料金は3万円からだ。

引き取り手いない「離婚した元夫の遺骨」

   この日届いた遺骨は亡くなった女性の部屋で発見された元夫の遺骨で、女性の遺骨は遺族に引き取られたものの、元夫の遺骨はどちらの遺族も引き取りを拒否したため遺品整理業者から寺に送骨されたのだった。遺骨はいったん本堂に安置され、住職が供養のお経をあげたあと寺内の合同墓に埋葬された。

   住職はこうした引き取り手のない遺骨を受け入れることについて次のように話す。「正直言いまして最初は抵抗がありました。こういうものを宅配便を使って送ることに良心の呵責があったのは事実です。しかし、いろんな家庭の事情も感じています。地域の縁、親族の縁、社会の縁も薄れていくなかで、最後の引き取り手というのでしょうか。お寺が慈悲の心で受け入れ手厚く葬ってあげることが一番いいのではと考え直しました」

NPO「遺骨を救う会」に全国から問い合わせ!4割が生前予約

   引き取り手のない遺骨の埋葬を支援するNPO法人も昨年3月(2013年)に発足した。「終の棲家なき遺骨を救う会」では全国からの問い合わせに3万円で寺への埋葬を手助けしている。昨年3月以来すでに412の遺骨の埋葬を手助けしており、今年1月までにあった678件の申し込みのうち4割に当たる266件が生前予約という。

   核家族化から少子高齢化へ進むなかで、家族という日本の原風景が崩壊し、埋葬の形までも変わりつつある。片山善博(慶応大教授)は「昔は家を代々継いでいく、墓を守っていくという気持がありましたが、それが流動化して核家族になって墓を守る人がいない。したがって、こうした形の埋葬にニーズがあるのだと思います」と話す。

   中央大法科大学院教授で弁護士の野村修也「埋葬の仕方はこうでなければいけないということはない。こういう形をとることを否定的に考えずに、自分たちにとって納得ができる形を選べばそれが幸せなのではないですかね」

   「それにしてもちょっと驚きですよ」と最後まで納得できずにいたのは年若い司会の井上貴博アナだった。